更新日: 2022.02.07 確定申告
2021年度の確定申告、どこが変わる? 注意点とともに解説
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
押印の義務がなくなった
これまでは、確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書といった書面の氏名のあとに押印が必要でした。しかし、2021年度収入分の確定申告(令和4年)からは、税務関係書類への押印が必要なくなりました。
ただし、この措置はすべての書類に及ぶわけではありません。担保提供関係書類や遺産分割協議書などは依然として押印が必要な書類もあるので、注意が必要です。
なお、この制度変更にともない、国税庁のホームページで公開されている確定申告書や青色申告決算書では、印鑑のマークが省かれています。
控除や非課税措置の変更
2021年度収入分の確定申告(令和4年)では、控除や非課税措置の項目についての変更もあります。
・住宅ローン控除についての変更点
住宅ローン控除については2つの変更点があります。
1つは住宅取得の期限の延長です。住宅ローン控除を受けるためには、住宅を取得した年度内に、その住宅に入居する必要があります。しかし、この制度が変更され、入居時期が延長されました。
新築では2021年9月、分譲住宅では2021年11月までに住宅を取得した場合、住宅ローンを受けるための入居時期は、2022年12月末まで延長されています。
もう1つの変更点は、住宅の床面積の要件が緩和されたことです。これまでは住宅ローン控除を受けるには、50平方メートル以上の床面積が必要でした。
しかし、2021年度収入分の確定申告(令和4年)からは、新築では2021年9月、分譲住宅では2021年11月までに取得した住宅の場合、床面積が40平方メートル以上であれば、住宅ローン控除が受けられます。
ただし、40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、住宅ローンの控除を受ける年度分の合計所得金額が1000万円以下でなければなりません。
・保育に関する助成が非課税措置となる
保育に関する助成は、雑所得として確定申告する必要がありました。しかし、2021年度収入分の確定申告(令和4年)からは、保育に関する助成は非課税対象となったため、確定申告する必要がありません。
非課税対象となる例としては、国や地方自治体からの助成によって支払われるベビーシッター利用料、あるいは認可外保育園その他の施設の利用料金などがあげられます。
・ふるさと納税の手続きの変更
ふるさと納税を寄付として控除するためには、寄付先の自治体が発行する寄付金受領書を添付しなければなりませんでした。そのため、複数の自治体に対してふるさと納税で寄付をした場合、書類を集めるのに手間がかかっていました。
しかし、2021年度収入分の確定申告(令和4年)からは、この書類要件が緩和されています。ふるさと納税を仲介している指定業者が発行した寄付金控除に関する証明書を確定申告時に提出することで、寄付金控除が受けられるようになりました。
確定申告の変更における注意点
2021年度収入分の確定申告(令和4年)では、これまでの変更点が引き継がれています。そのため、大きな変更がなされた2020年度収入分の確定申告(令和3年)の変更点も理解したうえで確定申告をするように気を付けてください。重要な改正ポイントは以下の5つです。
・基礎控除の見直し
・給与所得控除の引き下げ
・ひとり親控除の創設
・配偶者控除と扶養控除の基準変更
・青色申告特別控除の控除額変更
また、確定申告書に追加された区分欄には注意が必要です。これは、事業所得の収入・不動産所得の収入・雑所得の収入(その他)における、記帳や帳簿の保存状況といった内容を記入する欄です。
これまでの確定申告にはなかった欄なので、内容を間違えたり、記入を忘れたりすることがないように気を付けてください。
大きな改正点はないものの注意が必要
2021年度収入分の確定申告(令和4年)では、それほど大きな変更はありませんでした。しかし、控除や非課税措置の変更を忘れていると、余分な税金を支払うことになるかもしれません。
また、以前になされた確定申告の変更は、今回の確定申告でも引き継がれています。確定申告の書類を作成する前には、これまでに変更された内容もチェックしておくようにしましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より「認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
国税庁 令和3年分確定申告特集より「確定申告の手引きなど」
国税庁 税務署窓口における押印の取扱いについて
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー