更新日: 2022.02.09 控除
マッサージやはり・きゅうも医療費控除の対象になるってホント? 確定申告の方法とあわせて紹介!
今回は、医療費控除の基本を確認し、どのような場合に医療費控除の対象になるか、そして確定申告をする方法について解説してみます。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
医療費控除とは?
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記「医療費控除の対象となる金額」参照)の所得控除を受けることができるものです。
(1)医療費控除の対象となる医療費の要件
1.納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
2.その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であるものが対象です。したがって、未払いの医療費は、実際に支払った年の医療費控除の対象となります。
(2)医療費控除の対象となる金額
医療費控除の金額は、次の式で計算した金額(最高で200万円)です。
医療費控除の金額=(実際に支払った医療費の合計額 - Aの金額)- Bの金額
A:保険金などで補てんされる金額
生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などが該当となります。
B:10万円
なお、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額となります。例えば、総所得金額等が100万円の人は、その5%である5万円です。
(3)医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)
健康の保持増進および疾病の予防として一定の取り組みを行っている方が、その年中に自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」を受けることができます。
具体的には、その年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等により補てんされる部分の金額を除きます)のうち、1万2000円を超える部分の金額(8万8000円を限度)を控除できます。
なお、この特例の対象期間は、平成29年1月1日から令和8年12月31日までとなっています。また、通常の医療費控除との併用はできないのであん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価の対価について医療費控除を申請する人は、この制度を活用できません。
はり師、きゅう師などによる施術の対価が医療費控除の対象となる条件
肩こりや疲労回復、リラクゼーションなど健康維持のためのはり師、きゅう師などによる施術の対価は、医療費控除の対象とはなりません。
ただし、骨折や捻挫、脱臼などの治療のためのマッサージ代やはり師、きゅう師などによる施術の対価は、原則として医療費控除の対象になります。加えて、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価である必要があります。
通常のマッサージ店では、これら4つの資格を保有している店舗は少ないので、医療費控除の対象となりません。また、上記4つの資格を保有するマッサージ店であっても、治療目的でないと医療費控除の対象にならないので注意が必要です。
確定申告の方法
はり師、きゅう師などによる施術が医療費控除となる条件を満たしたら、確定申告を行います。確定申告をすることによって、医療費が一定額を超えた超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除(医療費控除)を受けることができます。
医療費控除を受けるためには、「医療費控除の明細書」を、所得税の確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。
国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用すれば「医療費控除の明細書」のほか、「確定申告書」等も作成できます。医療費控除の明細書の内容が自動で確定申告書に反映されますので活用しましょう。
また、スマホで申請する方法もあり、YouTube「国税庁動画チャンネル」(外部サイト)を見て申告をするのもよいでしょう。
なお、疑問点や相談などは、国税庁ホームページや確定申告電話相談センターやお近くの税務署に問い合わせてみてください。確定申告期は混みあうので避けたほうがおすすめです。
出典
国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
国税庁「医療費控除が変わります!」
国税庁「令和3年分 確定申告特集」
国税庁「国税に関するご相談について」
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー