更新日: 2022.02.22 確定申告

歯の矯正は医療費控除の適用になるってホント? 対象と条件をおさらい!

執筆者 : 新井智美

歯の矯正は医療費控除の適用になるってホント? 対象と条件をおさらい!
歯の矯正は、原則として医療費控除の対象外です。ただ、要件を満たせば医療費控除の対象となります。
 
では、どのようなケースであれば、医療費控除の対象となるのでしょうか。歯の矯正が医療費控除の対象となるための条件も、併せて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

聞くのは耳ではなく心です。
あなたの潜在意識を読み取り、問題解決へと導きます。
https://marron-financial.com

医療費控除とは?

1月1日から12月31日までにかかった医療費の一部を、所得控除として申告できます。これを医療費控除といいます。
 
支払った医療費は申告する本人だけでなく、生計を一にする家族や親族が支払ったものも合算できます。
 

■医療費控除の金額

医療費控除の金額は上限が決まっており200万円までです。
 
具体的には、実際に支払った医療費から保険金などで穴埋めされる金額を差し引いた額から、さらに10万円を引いた額が医療費控除の対象となる金額です。
 
ただし、その年の所得金額合計が200万円以下の場合は、実際に支払った医療費から、総所得金額の5%の金額を控除した額が、医療費控除の対象となる金額です。
 

■具体的な還付額は?

医療費控除は所得控除です。したがって、確定申告を行うことで、医療費控除の金額に申告する人の所得税率を乗じた金額が還付されます。
 
例えば、医療費控除の金額が40万円で、その人の所得に応じた所得税額が33%だった場合、40万円×33%の約13万円が還付されます。
 
(参考:国税庁「医療費控除」(※1))
 

医療費控除の対象となる医療費の範囲

医療費控除の対象となる医療費は、医師による診療や治療の対価として支払った医療費であり、原則として保険適用のものに限られます。
 
したがって、容姿を整える目的での歯の矯正は医療費控除の対象とはなりません。医師に治療の対価として支払った医療費以外に医療費控除の対象となるものには、以下のようなものがあります。

●治療のために必要な薬の購入費用
●医師の治療を受けるために必要な医療器具(コルセットや松葉づえなど)のほか、治療を受けるために通院した際の交通費(タクシー代は除く)
●はりやきゅうの施術を受けた際の対価(治療に関係ないものは除く)

(参考:国税庁「医療費控除の対象となる医療費」(※2))
 

医療費控除が適用される歯の矯正とは?

歯の矯正の中でも、内容によっては医療費控除の対象となるものがあります。
 

■矯正を受ける人の年齢や目的

子どもの成長段階においてかみ合わせが悪い、いわゆる「不正咬合(こうごう)」によって、その成長を阻害することを防止する目的での歯の矯正であれば、医療費控除の対象となります。
 
また、その際の通院にかかる交通費も医療費控除の対象です。子どもの通院であれば親が付き添うケースもありますが、その場合は親の交通費も医療費控除の対象です。
 
このように、歯の矯正が医療費控除の対象となるには、歯の矯正を受ける人の年齢や目的からみて、社会通念上必要と認められなければなりません。
 
大人の場合であれば、歯並びが悪いために話すもしくは食事をとるといった行為に問題が生じていれば、それを解決するための方法として歯の矯正を行うケースもあり得ます。そのケースであれば、社会通念上必要と認められるため医療費控除の対象となります。
 
見栄えが悪いから歯並びをよくしたい、という目的での歯の矯正は、医療費控除の対象とはなりません。
 
(参考:国税庁「歯列を矯正するための費用」(※3))
 

医療費控除は確定申告が必要

医療費控除の適用を受けるには確定申告が必要です。確定申告の期間は翌年の2月16日から3月15日までですので、その間に忘れないように申告するようにしましょう。
 
また、もし申告し忘れていても、5年前までさかのぼって申告することが可能です。
 

■確定申告の手続き

医療費控除の適用を受けるために確定申告を行う際には、医療機関や薬局から受け取ったレシートを保管しておきましょう。
 
その際、領収書と合わせて通院にかかった交通費をメモしておくと、1年分を集計する際に役立ちます。
 

■医療費控除の明細書の作成

医療費控除の適用を受けるためには、「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告の際に添付して提出する必要があります。
 
明細書には「医療を受けた人の氏名」「医療費を支払った先の病院や薬局の名前」「医療費の区分」「支払った医療費の額」そして「生命保険や社会保険で穴埋めされる金額」を記入します。
 
もちろん自分で作成しても構いませんが、国税庁のホームページに用意されている「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、必要事項を入力することで簡単に明細書を作成することができるほか、医療費控除の額も自動的に確定申告書に反映されます。
 

まとめ

医療費控除は美容を目的とした施術には適用されません。したがって、歯の矯正が医療費控除の適用となるには、歯の矯正をしなければならない正当な理由が必要です。
 
子どもの歯科矯正などは対象となるケースが多いですが、あくまでも医師が必要と認めた場合です。
 
歯の矯正を考える際、矯正が社会通念上必要となるかどうかについては、それが治療の一環として認められることがポイントです。
 
(※1)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
(※2)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1122 医療費控除の対象となる医療費
(※3)国税庁 歯列を矯正するための費用
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

ライターさん募集