更新日: 2022.02.27 控除

医療費控除で税金はどれくらい戻ってくる? 還付額の計算方法とは

医療費控除で税金はどれくらい戻ってくる? 還付額の計算方法とは
1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えたとき、確定申告を行って医療費控除を受けると、税金が戻ってくることを知っている方は多いと思います。
 
今回は医療費控除でいくらの税金が戻ってくるのか、モデルケースを基に計算してみましょう。
杉浦詔子

執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)

ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
 
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
 

医療費控除とは

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までの期間に、自分または自分と生計を一にする親族の入院や通院、手術などのために支払った医療費が一定の額を超えた場合に、確定申告によって支払った医療費の一部の額を所得から差し引くことができ、納める税金が少なくなる制度です。
 
年間の所得が200万円以上の方は、1年間の医療費の支払いが10万円を超えなければ医療費控除を受けることができません。
 
ただし、所得の合計額が200万円未満の方は、医療費が総所得金額の5%を超えると医療費控除を受けることができます。
 

医療費控除の計算式

医療費控除額の計算方法は、下記のとおりです。

【医療費控除の計算式】

医療費控除額=(「その年に支払った医療費の総額」-「保険金などで補てんされる金額」)-(10万円※)
※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%

まずは「その年に支払った医療費の総額」と、「保険金などで補てんされる金額」を計算します。
 
自分または生計を一にする親族のために支払った医療費の領収書を集計することになりますが、国税庁の確定申告のホームページにある医療費集計フォームをダウンロードして入力することもできます。
 
医療費集計フォームを例にして以下のような表を作っておくと、医療費控除の計算がしやすくなります。
 
●医療費の集計表

医療を受けた人 病院・薬局などの名称 医療費の区分 支払った医療費の金額 保険金などで補てんされる金額
1 A山○朗 ○○病院 診療・医療 20万円 5万円
2 A山○子 ○○歯科医院 診療・医療 7万円
3 A山○美 ○○診療所 診療・医療 3万円

※医療費控除集計フォームを参考に筆者作成
 

モデルケースによる医療費控除の計算

A山さん家族をモデルケースとして、上記「医療費の集計表」と下記「家族構成」の内容を基に、医療費控除で還付される金額(概算)を算出してみましょう。
 
●家族構成

氏名等 年間所得額
(医療費控除前)
所得税額計算式 所得税額
(医療費控除前)
A山○朗
(夫:会社員)
300万円 10%-9万7500円 20万2500円
A山○子
(妻:パート)
40万円 5% 2万円
A山○美
(子:中学生)

※筆者作成

【A山○朗さん(夫)が医療費控除を受ける場合の概算】

医療費控除額:
(本人の医療費20万円-補てんされる金額5万円)+(妻の医療費7万円-補てんされる金額0円)+(子の医療費3万円-補てんされる金額0円)-(10万円)=15万円
 
年間所得額:300万円-15万円=285万円
所得税額:285万円×10%-9万7500円=18万7500円
還付される税金:20万2500円-18万7500円=1万5000円

【A山○子さん(妻)が医療費控除を受ける場合の概算】

医療費控除額:
(夫の医療費20万円-補てんされる金額5万円)+(本人の医療費7万円-補てんされる金額0円)+(子の医療費3万円-補てんされる金額0円)-(40万円×5%)=25万円-2万円=23万円
 
年間所得額:40万円-23万円=17万円
所得税額:17万円×5%=8500円
還付される税金:2万円-8500円=1万1500円

A山○朗さん(夫)が医療費控除を申告すると税金の還付額は1万5000円、A山○子さん(妻)が申告した場合の還付額は1万1500円となります。
 
この計算により、今回のモデルケースでは所得の多いA山○朗さん(夫)が申告した方が医療費控除による還付額が多くなります。
 

その他のモデルケース

医療費控除で還付される税金の額は、控除額に所得税率を掛けた額と考えられます。
 
例えば医療費控除額が15万円の場合、所得税率10%の方は1万5000円、所得税率20%の方は3万円、所得税率40%の方は6万円と概算することができます。
 
ただし実際に還付される税金の額は、その方の所得などにより異なりますので、確定申告をする前に確認しておきましょう。
 
出典
国税庁 令和3年分 確定申告特集 医療費控除を受ける方へ
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
 
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

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