更新日: 2022.03.03 確定申告

確定申告、自分には関係ないと思っていませんか?

執筆者 : 飯田道子

確定申告、自分には関係ないと思っていませんか?
「自分は会社員だから」「自分は副業でわずかな収入があるだけだから」と、確定申告は関係ない・必要ないと考えている人もいらっしゃるかもしれません。
 
確定申告というと、納税するための申告というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、払い過ぎた税金を返還してもらえるという面があります。また、確定申告を行うことで将来、役立つことがあるのをご存じでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

確定申告が必要な人はどんな人?

まず、おさえておきたいのが確定申告の定義です。
 
確定申告は、経費などを売り上げから差し引いた1年間の所得をまとめて、それにかかる税金を計算し、国に税金を納めることです。
 
申告期間は、原則として、翌年の2月16日~3月15日の間に税務署に書類を提出し、納税することになっています。ただし、3月15日が土日祝日にあたっている年は、休日明けの最初の平日が申告期限となります。
 
2022年の3月15日は火曜日ですので、3月15日までに済ませることが必要です。
 
では、確定申告が必要な人はどのような人なのでしょうか?
 
代表的な例としては、

●個人事業主、フリーランサー
●一時所得がある
●退職所得があり、退職した企業に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない
●勤務先以外にも複数から収入がある人

などです。
 
副収入があっても所得が年間20万円以下であれば、原則として、確定申告は不要です。
 
ただ、源泉徴収後の収入が20万円未満の場合は、所得は20万円を超えているはずですので、確定申告してください。場合によっては還付を受けられる可能性があります。
 
また、源泉徴収されている場合は、確定申告の回数を重ねることで、還付金が受けられるだけでなく、ビジネスに対して真剣に取り組んでいる、税金を正しく申請しているという信用を積み重ねることもできます。
 
確定申告は客観的な信用です。たとえ赤字であっても、ビジネスを継続させている証拠になれば、将来、何らかの借り入れをする際に、有利になることが考えられます。
 

確定申告をやったほうがよい人はどんな人?

「確定申告をしたらお金が戻ってきた」という話を耳にした人は少なくないと思います。これは還付金であり、払い過ぎてしまったお金を返してくれるという制度のもと、行われています。
 
実際に、還付を受けられる人はどのような人なのでしょうか?
 
代表的な例としては、

●1年間の医療費が原則として、10万円を超えている
●住宅ローンを組んだ
●寄付行為やふるさと納税を行った

などです。
 
ここでは各項目を詳しくみていきましょう。
 

■1年間の医療費が原則として、10万円を超えている

この10万円は1人当たりの金額ではなく、生計を一とする配偶者やその他の親族のために払った医療費が含まれます。
 
簡単にいい換えれば、1世帯当たり10万円を超えている場合は、還付を受けられる可能性があります。
 
また、10万円を超えていなくても、もともとの収入が少ない場合にも、還付が受けられることがあります。
 
自分が確定申告をしたほうがよいのか不明なときには、税務署で相談するとよいでしょう。
 

■住宅ローンを組んだ

返済期間10年以上の住宅ローンを利用してマイホーム購入、もしくは新築・増改築したときには、居住を開始した年から、原則として、10年にわたって「住宅借入金等特別控除」を受けることができ、10年の間、住宅ローン残高の1%が所得から控除されることになっています(消費税10%で住宅を取得、2019年10月~2022年12月末日までに入居すれば控除期間が13年となります)。
 
会社員の場合は、住宅ローンを利用した翌年に確定申告を行えば、それ以降の9年間は会社を通して年末調整を受けられますが、個人事業主などは、毎年、申告しなければなりません。
 

■寄付行為やふるさと納税を行った

●寄付行為
寄付行為を行ったときには、寄附金控除を受けることができ、定められた先への寄付をした場合には、次のいずれか低い金額-2000円が寄附金控除額となります。

イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額

●ふるさと納税
ふるさと納税を行ったときには、寄附した金額から2000円を引いた金額を所得から控除できます。
 
ただし、本来であれば確定申告をしなくてもよい会社員などの場合で、寄付した先が5カ所以下のときには、条件を満たせばふるさと納税のワンストップ特例制度を利用できます。特例制度を利用していれば、確定申告は不要です。
 

確定申告はどのようにすればよい?

自分は確定申告をしたほうがよいと分かっていても、どのように手続きすればよいのか分からないという人もいるのではないでしょうか?
 
今はオンライン上で申告することができ、国税庁の「令和3年確定申告特集」(※)より、作成できます。
 
国税庁の確定申告特集ページでは、動画によるレクチャーを行ったり、Q&Aなども確認できたりしますので、一度、サイトを訪れるとよいでしょう。
 
特集ページを見ても分からない、オンラインでは申告したくない場合などには、直接、税務署に出向いて相談してみましょう。確定申告の用紙ももらえます。
 
特に、初めて確定申告するときには、不安に感じることもあるでしょう。税務署のスタッフが丁寧に教えてくれます。
 
ただし、コロナ禍である今、税務署ごとにどのような体制を組んでいるのは不明です。住所地の最寄りの税務署へ、どのような体制になっているのかを確認してから、訪問したほうがよいでしょう。
 
出典
(※)国税庁 令和3年確定申告特集
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

ライターさん募集