確定申告の申告期限を過ぎてしまった…。どれくらいペナルティが課される?
配信日: 2022.03.10
こちらでは、申告期限を過ぎた場合のペナルティーについてみていきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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延滞税の発生
確定申告の期限である3月15日を過ぎてから行った申告は、期限後申告と呼ばれます。期限後申告になった場合には、遅れた日数分の延滞税が発生するため、申告が必要なことに気づいた時点で可及的速やかに手続きを済ませなければなりません。
延滞税というのは、納税期限までに納付されなかった税金に対して追加で発生するペナルティーです。本来納付しなければならなかった税金に対して、延滞税率と延滞した日数を乗じて365で割る計算になりますので、手続きが遅れるほど税額が高くなります。
また、延滞税率自体も法定納期限から遅れるほど高くなるため、日数の経過とともに負担は大きくなります。具体的には、法定納期限から2ヶ月以内に納付した場合の延滞税率は7.3%ですが、それ以降になると14.6%と倍の税率です。
例えば、10万円の税金に対して30日遅れた場合には10万円×0.073×30日÷365日=600円の延滞税になりますが、90日遅れると10万円×0.146×90日÷365日=3600円と大きな差になります。
無申告加算税の発生
期限後申告では、延滞税だけでなく無申告加算税というペナルティーも課されます。これは期限を過ぎてから経過した日数には影響されませんが、自主的に申告した場合と税務署の指摘を受けてから申告する場合で税率が異なるため、やはり早めに確定申告をするに越したことはありません。
計算方法は、本来納付すべき税金に所定の税率を乗じます。税務署からの指摘を受けて申告した場合、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の税率です。一方、自主的に期限後申告をした場合には5%ですが、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するものは調査の事前通知の後に申告をした場合、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%になります。
例えば税金が10万円の場合、税務署から指摘されて申告した場合は1万5000円、事前通知後ならば1万円、自主申告ならば5000円の無申告加算税が発生するということです。
以上のことから見ても、確定申告が必要と気づいたらすぐに申告したほうが、支出が少なく済みます。
青色申告特別控除額の減少
確定申告が必要な人のなかでも、個人事業主やフリーランスなど青色申告をしている人にとってはさらに重要なペナルティーが発生します。青色申告できるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のみです。
青色申告をしている人は、条件に応じて65万円、55万円、10万円のいずれかの青色申告特別控除額を受けることが可能です。e-Taxによる申告や電子帳簿保存法に準拠して帳簿を保存している場合には最大65万円の控除を受けることができ、複式簿記による記帳をしているだけでも55万円の控除があるため、事業所得や不動産所得などがある人にとってはかなり税金面で優遇が受けられます。
期限後申告となった場合、55万円、もしくは65万円の控除を受けるための要件を満たしている人でも、10万円の控除しか受けられなくなるリスクが発生します。さらに、2期連続で期限後申告になった場合には、青色申告の承認が取り消されることもあるためかなりのデメリットです。一度青色申告の承認が取り消されると、次に承認申請ができるのは翌々期となるため、最大130万円の控除が受けられなくなるということです。
確定申告ありきで準備をしましょう
このように、悪気がない場合でも確定申告を期限内に行わなかったときのペナルティーは深刻です。年度ごとの収入等によって、確定申告の要不要は異なってきますが、基本的には確定申告をしなければならないものと考えたうえでその年の収入から判断をするようにしましょう。申告期限間際になって焦らないためにも、確定申告ありきで準備をしておいたほうが安心です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー