雑損控除はどんなときに受けられる? 控除される額はいくら?

配信日: 2022.03.12

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雑損控除はどんなときに受けられる? 控除される額はいくら?
3月15日の期限が迫ってきた確定申告。もうすませられましたか?
 
一昨年や昨年とは異なり、今年は全国一律に、申告期間の延長をすることはありません。ただし、新型コロナウイルス感染症等の影響により申告が難しい方は、2022年4月15日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長を申請できます。
 
なお、確定申告により還付を受ける方の場合は期限を過ぎても問題ありません。
 
本稿では確定申告で行う控除の1つ、雑損控除をみていきたいと思います。
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

雑損控除

災害や盗難などによって一定の資産が損害を受けた場合、確定申告によって所得控除(ここでは雑損控除に該当)を受けられます。
 
なお、会社員等の給与所得者は、年末調整では雑損控除の申告はできないので、確定申告を行います。
 

雑損控除の対象となる資産

雑損控除の対象となる資産ですが、まず所有者の要件からみていきましょう。要件は以下の(1)もしくは(2)のいずれかです。

(1)納税者
(2)納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)の方

雑損控除の対象となる資産は、以下のいずれにも該当しない資産です。

●棚卸資産=商品等の在庫
●事業用固定資産
●生活に通常必要でない資産=別荘やゴルフ会員権、ジュエリー、書画、骨董(こっとう)など1個または1組の価額が30万円超のもの等

 

雑損控除の控除額

雑損控除の控除額は、以下の2つの計算式のいずれか高い方の金額です。

●(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
●(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

上述の計算式のうち損害金額は、損害を受けたときの直前における、その資産の時価を基にして計算したものです。
 
また、災害等関連支出の金額は片付けや取り壊し、原状回復工事などに掛かる費用のことです。
 

雑損控除の対象となる原因

雑損控除の対象となる原因とは以下のとおりです。

●震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
●火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
●害虫などの生物による異常な災害
●盗難
●横領

詐欺や恐喝は対象外です。
 
以上の雑損控除の対象となる原因の中には、火災保険や地震保険の対象となるもの、いわゆる保険事故に該当するものも含まれています。
 
もし、火災保険や地震保険等から保険金を受け取る場合には、先述の計算式のとおり、受け取れる保険金額を差し引いた上で、雑損控除の額を計算します。
 

雑損控除の繰越控除

損失の額が大きくて控除しきれない場合には、翌年以後3年わたり、繰り越して控除を受けられます。
 
出典
国税庁 新型コロナウイルス感染症の影響により申告期限までの申告等が困難な方へ(令和4年2月3日)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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