更新日: 2022.03.16 確定申告
これって「経費」になる? 確定申告の「経費」を見極めるには
そこで問題になるのが、何が「経費」になるのかです。経費になるかどうかの線引きが難しい支出もあり、確定申告で悩む人が少なくありません。
今回は、「経費」になるものを見極めるためのノウハウを紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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「経費」の基本的な考え方
確定申告における「経費」を見極めるためには、最初に「経費」とは何かを理解するところから始めましょう。
所得税法第37条で必要経費として認められるものは、まず収入に対応する売上原価や直接支払った費用の額です。次に、確定申告をする年に支払った販売費や一般管理費、そのほか業務上で発生した費用の額も、必要経費になります。
これを簡単にまとめると、経費とは「所得を得るために事業で必要となった費用」ということ。当然ながら個人的な買い物での支払いは、費用として計上できません。
また、必要経費には計上できるタイミングが決まっています。
確定申告をする年の経費として認められるのは、12月31日までに商品・サービスの契約・提供が済んでおり、支払う金額が明確である場合です。
例えば、年末になって業務上必要となる買い物の代金をクレジットカードで支払ったとします。クレジットカードを使った買い物の代金が引き落とされるのが年明けだったとしても、買い物および商品の引き渡しは年内にすんでおり、金額も明らかであれば買い物をした年の経費として計上ができます。
売り上げに結びついている支出かどうかを考える
経費になるかどうかを見極めるためには、「支出が売り上げに結びついているのかどうか」が基準となります。
店舗やオフィスを借りるための地代家賃や従業員に支払う給与賃金などは、事業を行うために必要です。事業に必要ということは、売り上げに結びついており、経費として計上できます。
それに対して、暮らしている家の家賃は、プライベートな支出であり、事業に関連するものではありません。事業に関連しない支出とは、売り上げに結びつかない支出ですので経費にしてはいけません。
しかしながら、自宅の一部を仕事場としているのであれば、事業に関わる作業スペースとして家賃や光熱費の一部を経費として計上できます。
事業とプライベートの費用が混在しているとき、基準に応じて割り振ることを家事案分といいます。
作業スペースの面積が自宅の総面積の2割であったならば、家事案分は事業が2でプライベートが8です。10万円の家賃であれば、地代家賃として認められるのは2万円となります。プライベートな時間も過ごすリビングで仕事をしているときには、仕事時間から家事案分を導き出しましょう。
資格を取得するため必要だった費用は経費になるのか
業務を行うために資格が必要だった場合、受験料や研修費などは原則として経費として計上できます。
例えば飲食店を行うためには調理師の資格が必要です。調理師学校に入って学ぶための費用は経費として認められます。
しかし、経営だけ関わっている飲食店のオーナーが調理師の資格を取得しても経費にはならないでしょう。なぜなら、資格取得がオーナーの業務に直接関係していないためです。主張次第で税務署に経費として認めてもらえる可能性もありますが、それが容易ではないことを理解しておきましょう。
業務に必要な資格を取得するためでも、弁護士や税理士など独占業務がある国家資格については、費用が経費として認められません。その理由は、独占業務のある国家資格を取得することが、高いステータスを持つ仕事や役職に就くことに役立つためです。
資格取得の恩恵が大きいと、業務に必要な資格の取得であっても、個人がキャリアを得るための教育費であるということで、家事費とみなされます。
売り上げに結びつく支出だけを経費とすれば確定申告は安心
確定申告で経費にならないものを経費としてしまったら、税務署から修正を指示される上に追徴課税というペナルティーを受ける可能性があります。
経費かどうかを見極めることは、税負担を増やさないために必要なことです。経費となるのは売り上げに結びつく支出だけということに注意しつつ、1年間の支出を仕訳しましょう。
経費の見極めが正しくできれば、確定申告の際に安心して手続きができます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員