更新日: 2022.03.17 その他税金

宝くじで100万円当せんした! 税金まわりで注意しておきたいことって?

執筆者 : 飯田道子

宝くじで100万円当せんした! 税金まわりで注意しておきたいことって?
多くの人が当せんを夢見る宝くじ。とはいえ、高額当せんしたら、どれだけ税金が掛かってしまうのかと不安になってしまうかもしれません。
 
そもそも宝くじの当せん金に税金は掛かるのでしょうか? また、税金に関することで注意すべき点はあるのかなど、確認してみましょう。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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宝くじの当せん金に税金は掛かる?

せっかく宝くじに当せんしたのに、税金が掛かってしまったら、手元に残るお金は少なくなってしまいますよね。
 
安心してください! 宝くじの当せん金に税金は掛かりません。
 
しかし、「それは少額当せんだけで、高額当せんになったら税金が必要になるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、当せん金額の高い低いにかかわらず、当せん金付証票法という法律により、宝くじの当せん金は、非課税所得と決められているのです。
 
つまり、100万円当せんしても、1億円当せんしても、所得税も住民税も掛からないため、全額、使えることになります。
 
ここで疑問なのが、どうして非課税なのかということです。
 
実は、宝くじは当せんの有無に関わらず、購入時には一律で税金が掛かっています。また、委託先の金融機関に手数料を支払った後は、宝くじを発売している、都道府県や20の政令指定都市の地方公共団体となっています。
 
つまり、あらかじめ税金を払っているということです。
 

宝くじにまつわる税金の落とし穴とは…

当せん金が非課税なのは事実ですが、それは宝くじを購入した人が当せん金を受け取った場合の話です。その後のお金の流れによっては、税金が課税される可能性があるのです。
 
例えば共同で宝くじを購入した場合です。
 
高額当せんしたときには、当せん金が口座へ振り込まれることになりますが、このとき、代表者の1人の口座へ振り込んでもらったときには、出資者の有無に関わらず、口座名義人のお金となります。
 
そのため、後から出資額に応じて按分しても、贈与となる可能性があるのです。贈与税は最大で55%にもなりますが、口座名義人は無税となりますので、これでは不公平感が生じてしまいます。
 
このような事態に陥らないためにも、当せん金を受け取るときには、共同購入者全員で受け取った旨の手続きが必要なのです。
 
具体的には、方法はこちらです。

(1)あらかじめ出資額および配分率を取り決めておき、書類にする(公証役場で確定日付を得ておけば万全です)。
 
(2)高額の当せん金を受け取るときは、全員で銀行に出向いて、1人ずつ個別に分配金を受け取る。
 
(3)代表の人宛ての委任状を作成して銀行へ持っていき、あらかじめ決めた分配率に応じて当せん金を各自の口座に振り込んでもらう。

委任状には、宝くじの当せん番号や各自の住所、氏名や分配額など記入しておきましょう。
 

家族へ渡すときにも注意が必要?!

宝くじがあったたら、家族にあげようかなと考えている人もいらっしゃるでしょう。
 
その場合も共同購入と同じように、贈与税の対象となってしまい、最大で55%の贈与税が課税されることがあります。
 
特に、家族間では贈与そのものは珍しくないため、すでに行っている贈与とあわせて、受贈者には、贈与税がかからない基礎控除額までの総額110万円までに抑えておくことが大切です。
 
年間総額110万円以下の贈与であれば贈与税がかからないだけでなく、贈与税の申告そのものが不要になります。
 
また、高額当せんした後に、使いきれずに当せん者が亡くなってしまったときには、被相続人である当せん者の財産となるため、相続税の対象となることがあります。
 
ただし、相続税には基礎控除額があります。
 
相続税の基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算されます。例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人のときには、3000万円+(600万円×3人)となるため、4800万円が控除されますので、当せん金を含めた財産が4800万円以下なら、相続税はかかりません。
 
当せんする前から相続税のことを考えても仕方がないのですが、このように非課税の宝くじの当せん金に2次的に税金が掛かることはあります。
 
そのため、共同で購入するときにはあらかじめ書類を作成する、委任状を作成して受け取る、高額当せんしたときには改めて使い方を考え、家族に贈与をするときには基礎控除額以内に抑える、などの対策をするとよいでしょう。
 
とはいえ、これはあくまでも高額当せんした場合の話。今から悩んでいても仕方がありません。まずは宝くじを買って、雰囲気を楽しむのもよいでしょう。
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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