更新日: 2022.03.21 確定申告
日本年金機構から届く公的年金等源泉徴収票。必要になるシーンは?
これは何のためにわざわざ送られてくるのでしょうか。何かの役に立つものなのでしょうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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源泉徴収票とは
会社員にとって年末に勤務先から配られる源泉徴収票は、年末調整の結果も記載されていて、いわば年越しの風物詩のようなものでしょう。
これは会社などの雇用主が給与を支払うときに源泉所得税を天引きして、働いている人に代わって毎月納付した実績をまとめたものです。
雇用主などは源泉徴収義務者であり、源泉徴収を怠ることはできません。その代わり給与をいくら支払い、年金保険料や健康保険料などの社会保険料をいくら徴収し、扶養家族の状況などに応じて定められた源泉所得税の徴収ルールに従って、いくら源泉所得税を徴収したかを本人に報告します。それが源泉徴収票です。
公的年金でも全く同じことが行われます。
年金を支払う日本年金機構が、年金受給者に代わって2ヶ月に一度支払われる国民年金や厚生年金から、一定のルールに従って源泉所得税を徴収し、1年を通じていくら年金を支払い、いくら源泉所得税を徴収したかを本人に通知します。
これは企業年金などの私的年金でも同じことです。また課税のルールは違いますが、生命保険会社の年金保険でも同様に源泉徴収が行われます。日本年金機構、企業年金基金、生命保険会社などの源泉徴収義務者は、本人に代わって行った事務を源泉徴収票で報告しなければならないのです。
公的年金の源泉徴収票の具体的な使いみちとは
源泉徴収票は一種の事務報告ですから、本人はただもらっておけばよいだけでしょうか。
公的年金に関していうと、それは半分正解で半分誤りです。実は会社員などではそのままもらっておけばよい場合がほとんどです。
なぜなら会社などの雇用主は1年の終わりに年末調整を行って、徴収した源泉所得税と実際に厳密に算出した所得税額の差額を精算するからです。多くの場合は源泉徴収額が多少多めとなって、いくらかお金が戻ってきます。お金がもらえて、しかも自分はもう何もしなくてもよい、会社員の税金を巡る事務は確かによくできています。
公的年金の場合は誰も年末調整に当たる作業を行ってくれません。年金受給者は自分で年金を巡る税金の精算を行わなければならないのです。
日本年金機構は自分のところで支払った年金額は分かりますが、それ以外からその人に支払われた年金額については関知しません。健康保険料をいくら支払ったかも知らないし、もちろんどこでアルバイトをしていくら稼いだかも知りません。本人がすべての収入・所得を取りまとめ、適用される控除額を差し引いて税額を計算し、源泉徴収税額との差額が出れば追加で納税するか、あるいは納め過ぎた税金の還付を求めます。
つまり確定申告の際の証明資料の一つとして公的年金の源泉徴収票が必要になります。
公的年金をもらった人全員が確定申告を行うわけではない
公的年金の源泉徴収票が届いたとして、必ず確定申告をしなければならないのでしょうか。
「はい、そうですか」ともらっておくだけでも特にペナルティはありません。何もしないで放っておくというのも半分は正解です。
年金の出所が1ヶ所だけであれば、源泉所得税はほぼ実際の所得税に一致しますので、確定申告の手間を考えればわずかな還付金のために労力をかけるのは無駄かもしれません。時間も交通費もかけて数百円の還付金なら確かに割に合わない作業です。
国税庁は納税者の便宜も考慮して、(1)公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、かつその公的年金等の全部が源泉徴収の対象、(2)公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合は確定申告不要と定めています。
もちろんそれでも還付金が出るなら確定申告しても構いません。老齢年金を受給する年代になれば医療費がかさみ医療費控除が受けられるかもしれませんし、ふるさと納税を行ったら寄付金控除が受けられます。
国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーを利用すれば、指示に沿って数字を打ち込むだけで確定申告書ができ上がり、所得税の過不足が直ちに計算できます。年末から年初にかけて確定申告書作成に必要な書類が届きますので、一度計算に挑戦してみてください。
税や社会保険料の仕組みを知ることは、長寿社会を乗り切るために必ずプラスになります。
まとめ
会社員が受け取る年末調整済みの源泉徴収票と違って、高齢者が受け取る公的年金の源泉徴収票は、これから税額を計算するための大事なデータであり証拠でもあります。
確定申告してもさほど大きな還付金は期待できないかもしれないし、かかる手間を考えると割に合わないと考えがちですが、自分で自分の税金を計算して税の仕組みを知ることはとても大事なことです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員