更新日: 2022.03.30 その他税金

コロナ禍、猶予制度がある地方税ってどんなものがある?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

コロナ禍、猶予制度がある地方税ってどんなものがある?
新型コロナウイルス感染症拡大により、体調への支障や事業に影響が出たことで一時的に納税が困難な人も大勢いることでしょう。
 
地方税に関して、自治体は「徴収の猶予」と「換価の猶予」を用意しています。しかしながらこれらの猶予制度に馴染みがないせいか、あまり活用されていません。
 
そこで今回はこれらの猶予制度について、要件・効果・申請方法などを詳しく解説します。
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徴収の猶予

「徴収の猶予」とは地方税法第15条に規定され、災害や病気などを理由に納税が困難な場合に、申請することで一時的に税の徴収を猶予する制度です。対象となる税の種類は、自動車税環境性能割・狩猟税などを除いた全ての地方税です。
 

・要件

徴収の猶予を受けるためには、以下5つの要件のいずれかに該当する必要があります。
 
まず「災害や盗難により財産に相当な損失が生じた」です。一例として、新型コロナウイルス感染拡大防止の消毒作業により備品や棚卸資産を廃棄した場合が挙げられます。
 
次に「本人又は生計を一にする家族が病気・負傷した」です。これは納税者本人や家族が新型コロナウイルス感染症にかかった場合に該当します。
 
3つ目の要件は「事業を廃業、又は休業した」場合です。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により事業を廃業・休業した場合に該当します。
 
4つ目の要件は「事業が著しい損失を受けた」場合です。新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した場合に該当します。
 
5つ目は「上記4つの要件に類する事実があった」です。
 

・申請方法

徴収の猶予を申請時に、規定の書類を提出する必要があります。
 
まず「徴収猶予申請書」です。各自治体の窓口やホームページにあるので、必要事項を記入します。次に「財産収支状況書」、あるいは猶予額が100万円以上の場合は「財産目録」・「収支の明細書」です。さらに「徴収の猶予の要件となる事実を示す書類」も必要となります。新型コロナウイルス感染症の診断書や、月毎の売上比較表などです。
 
また猶予を受ける金額が100万円を超え、かつ、猶予期間が3か月を超える場合、担保の提供が必要となる場合があります。
 
申請は各自治体の窓口へ出向く他、郵送やeLTAXによる電子申請でも受け付けています。申請期限は猶予を受ける地方税の納期限までです。
 

・効果

審査に通ると徴収の猶予に関わる地方税について、1年間滞納処分が猶予されます。また猶予期間中の延滞金については、全部または一部が免除です。また猶予を受けた税は、原則として、猶予期間中の各月に分割して納税することとなります。
 

換価の猶予

「換価の猶予」とは地方税法第15条の6に規定があります。換価とは、差押えた財産を金銭に換え、滞納している税金に充当する手続きです。
 

・要件

換価の猶予を受けるためには、以下の要件を全て満たす必要があります。「納税することで、事業の継続・生活維持が困難になるおそれがある」、「納税に対して誠実な意思をもつ」、「猶予を受けようとする地方税以外の地方税の滞納がない」の3点です。
 

・申請方法

必要書類は各自治体の窓口ホームページにある「換価の猶予の申請書」、「財産収支状況書(猶予額が100万円以上の場合は「財産目録」・「収支の明細書」)」、診断書や月毎の売上比較表などの「換価の猶予の要件となる事実を示す書類」です。
 
また猶予を受ける金額が100万円を超え、かつ、猶予期間が3か月を超える場合、担保の提供が必要となる場合があります。
 
各自治体の窓口や郵送・eLTAXでも申請を受け付けています。申請期限は猶予を受ける地方税の納期限から6か月以内です。
 

・効果

審査に通ると1年間財産の換価が猶予されます。また猶予期間中の延滞金については、全部または一部が免除されます。
 

困ったら窓口に相談を!

上述したように申請には多くの書類が必要となります。特に新型コロナウイルス感染症関連の書類はあらかじめ保存しとくように心がけましょう。
 
さらに自治体の窓口では相談コーナーを設けているところもあります。税金の問題は複雑で、慣れていな人にとっては難しく感じるかもしれません。分からないことがあれば窓口に赴き相談しましょう。
 
出典
国税庁「新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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