更新日: 2022.04.11 確定申告

「養老保険」の満期がきて保険金を受け取った。確定申告は必要?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

「養老保険」の満期がきて保険金を受け取った。確定申告は必要?
養老保険に加入していて満期になると、まとまった金額が振り込まれます。そのため、満期金には確定申告が必要なのでは、と心配になる人も多いでしょう。
 
結論からいえば、自分で保険料を支払った保険の満期金を受け取ると確定申告が必要となる可能性があります。
 
この記事では、確定申告が必要な条件から申告に必要な書類まで詳しく解説します。満期金を受け取る予定がある人は、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

養老保険とは

 
生命保険のタイプは、一般的には定期保険、終身保険、養老保険の3種類と定義されます。

●定期型:契約時に保険期間を定める
●終身型:契約時に保険期間を定めず、被保険者が亡くなるあるいは解約するまで継続
●養老保険:被保険者が死亡・障害時には保険金、満期まで生存していると満期保険金が支払われる

なお、定期保険と終身保険は主に被保険者の死亡で保険が支払われるため、死亡保険に分類されます。
 
この場合、養老保険は生存していても保険金が支払われるので、分類上は生死混合保険となります。
 
また生命保険を掛け捨て型と貯蓄型に分けた場合は、養老保険は貯蓄型に分類されます。
 

養老保険と一般的な終身保険との違い

 
養老保険と終身保険の違いを比較したのが図表1です。
 
【図表1】

比較項目 養老保険 終身保険
保険期間 あり
ある程度自由に設定できる
なし
一生涯保障
保険料 比較的高い 養老保険より比較的安い
満期保険金 あり なし
満期そのものがない
死亡保険金 あり あり
解約返戻金 あり あり

著者作成
 

養老保険のメリット・デメリット

 
養老保険は貯蓄性が高い保険商品ですが、その貯蓄性がメリットやデメリットにもなります。

【養老保険のメリット】

●保険期間が年数だけでなく年齢でも設定できるので、ライフスタイルに合わせた貯蓄が可能
●保険料の支払期間が短くても、亡くなった場合は満期保険金と同額の死亡保険金が受け取れる

【養老保険のデメリット】

●貯蓄性が高いため、保険料が高くなる
●予定利率が低い場合、満期金が支払総額を下回ることもある

 

保険金を受け取ったときの税金関係について

生命保険で受け取る保険金のうち満期保険金は定期型の生命保険と養老保険にはありますが、終身保険には存在しません。つまり、終身保険は被保険者の死亡まで死亡保険金を受け取れません。ただし、掛け捨ての保険ではないので解約すれば返戻金は戻ります。
 
以下では、それぞれのタイプの保険金を受け取ったときの税金の種類について説明します。
 

満期保険金を受け取ったとき

 
満期保険金は、保険料の契約者と受取人との関係により課税される税金の種類が違います。

●保険料契約者と受取人が同一:所得税
●保険料契約者と受取人が異なる:贈与税

所得税の対象となる場合は、所得税の確定申告が必要です。贈与税の場合は、確定申告ではなく贈与税として別に申告します。
 

死亡保険金を受け取ったとき

死亡保険金も被保険者、保険料契約者と受取人の関係によって3種類の税金に分けられます。

●契約者と受取人が同一で被保険者が別:所得税
●保険料契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる:贈与税
●契約者と被保険者が同一で受取人が別:相続税

なお、上記以外は満期保険金の場合と同じです。
 

確定申告のやり方

 
所得税の確定申告は、個人事業主は必ず年に1回行います。給与所得者でも確定申告が必要なケースをまとめると以下になります。

●年収が2000万円を超える場合
●給与・退職所得以外の所得が年間20万円を超える場合
●2ヶ所以上から給与の支払いを受けている場合
●控除を申告することで所得税の還付が受けられる場合(還付申告)

給与所得以外の収入が一定額以上ある場合も確定申告が必要なので、所得とみなされる保険金を受け取った場合は確定申告が必要です。生命保険の満期保険や死亡保険金が所得税に該当する場合は、確定申告をしましょう。
 
なお、所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。つまり、満期保険金=一時所得は、総収入金額-支出金額-特別控除額となります。この計算で、支払総額を下回る満期保険金は所得税の対象になりません。
 
また、医療費控除や住宅ローン控除を申告すると、所得税の還付や住民税の減額が受けられます。
 

確定申告の期間とフロー

 
所得税は原則毎年1月1日~12月31日までの所得を、翌年の2月16日~3月15日までに申告します。また、所得税の納税期限も3月15日ですが、口座振替で納める場合は4月21日が振替日になります。納付期限は年度によって変わる場合があるので、必ず事前に確かめましょう。
 
所得税の申告時期は税務署が大変混雑するので、e-Taxでの申告が自宅でもできて便利です。ただし、電子送付するにはマイナンバーの取得、カードリーダー、電子証明書の取得など事前準備が必要です。初めて申告する場合は、e-Taxの申告書作成コーナーだけ利用して、申告書を印刷しましょう。それを必要書類とともに郵送することで申告手続きができます。
 

確定申告に必要な書類

 
事業所得や給与所得がある場合は、養老保険の満期保険金を「一時所得」または「雑所得」として合わせて申告します。
 
満期保険金は一時所得や雑所得の扱いになるので確定申告が必要ですが、ほかにも所得がある場合はその所得申告と同じ申告書で申告します。一般的に所得申告をしない給与所得者も、給与所得と合わせた申告が必要です。満期保険金を一括で受け取った場合は一時所得、年金として分割で受け取る場合は雑所得として申告しましょう。
 
一時所得や雑所得の申告に必要な書類は以下のとおりです。

●満期保険金支払証明書
●年金支払案内(予定通知)兼課税証明書

これらは、申告前に保険会社に確認しておくと安心です。
    

自分で保険料を支払って、満期保険金を受け取ったら確定申告が必要な可能性が高い

 
養老保険の支払いを自分でしていた人が、満期金を受け取ると確定申告が必要になる可能性が高くなります。最後に確定申告が必須となる条件を図表2にまとめたのでチェックしてみましょう。
 
【図表2】

チェック項目 確定申告の要不要
5年以下の契約期間または5年以内に解約した場合 源泉徴収されるため不要
以下の計算式でプラスになる場合
(満期保険金額-支払総額-50万円)×2分の1
必要

著者作成
 

まとめ

確定申告に慣れている個人事業主であれば問題ありませんが、給与所得者は申告書の作成だけで時間を要します。確実に申告するため、税務署を訪問して相談しながら申告書を作成しましょう。
 
出典
国税庁 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき
国税庁 死亡保険金を受け取ったとき
国税庁 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合
国税庁 申告手続の流れ
国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A 確定申告・還付申告
国税庁 主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

ライターさん募集