節税に利用できる! 年金受給者が受けられる控除にはどんな種類がある?
配信日: 2022.04.11
一定の条件を満たす場合は申告を不要とする制度もありますが、医療費をはじめとした各種控除を活用するには、確定申告が必要です。
現役時代のように、もうお金のことにあくせくしたくないという人もいるかもしれません。しかし年金受給者でも、人によっては納税額がかなりの金額になるため、各種控除を活用した節税を考えることが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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収入の種類に応じた控除をフルに活用する
控除といっても、その種類はさまざまです。
雑所得として課税対象である国民年金や厚生年金、共済組合などの公的年金および企業年金などは、一定の公的年金等控除額を差し引いて所得金額を算出します。
問題は、それ以外の種類の所得がある場合です。
年金受給者がアルバイトをして、例えば年間30万円稼いだとすると、それは給与所得となるので、給与所得控除が適用され給与所得はゼロになります。この場合は申告するのが原則ですが、もしそのアルバイト料から源泉徴収税が引かれていれば、それは還付されるべき金額となります。申告することでメリットになるのです。
ほかにも、貸家を持っていて不動産収入がある場合、事業的規模なら青色申告控除、小規模でも白色申告控除が受けられます。帳簿の記録や申告方法などで控除額が違ってきますが、わずかの手間をかけることで控除が増えるなら、試してみる価値が大いにあります。
また、生命保険の一時金や年金の一時金の受け取りの際に適用される場合もある、一時所得の特別控除額(最高50万円)もあります。一時金の受け取りのタイミングと金額次第では、納税額が少なくて済みます。
ただし、ほかにも一時所得がある場合は、特別控除額を超えないよう注意する必要があります。
個人のいろいろな事情を反映する控除の内容はいろいろ
社会保険料控除
各種所得とは別に、個人が安心な生活を営むための費用が控除として認められます。
もっとも大事なのが社会保険料控除で、年金受給者では国民健康保険料控除、介護保険料控除が金額的にも大きくなります。
生命保険料控除、地震保険料控除
生命保険料控除もそれぞれの保険加入の状況に応じて利用できますし、自宅で地震保険に加入していればそれも控除の対象です。これらは現役時代と変わりません。
医療費控除
高齢化に伴って医療費負担が増えるのが一般的なので、医療費控除はより身近な存在になってくるでしょう。
加入している健康保険から、年間の医療費データが送付されるとそのまま申告に使えるなど、簡便化も進んでいますが、通院に掛かった交通費などは自分で記録して、漏れのないようにする必要があります。
そのほかの控除
個人によって変わってくる控除が寄附金控除です。
ふるさと納税がよく知られていますが、返戻品と合わせて考えるとメリットはあるものの、返戻品の額によっては、一時所得の課税対象となる場合があるので注意が必要です。
このほか、災害での損失をカバーする雑損控除は、忘れずに申告しましょう。非上場会社の配当を受け取る人は、配当控除という仕組みもあります。
改めて見直したい、家族に関係した控除
家族との関係では扶養控除、配偶者控除が浮かびます。本人分をカバーする基礎控除もあります。これらには老年の場合や障害者、あるいはひとり親など、その人が置かれた状況で金額が違ってきますが、これも正確に申告した方がよいでしょう。
見落としがちなのが、家族でまとめての申告が認められる控除です。
医療費控除は家族分をまとめ、最も収入の多い人が申告すれば、税額が軽減されます。生命保険料なども、例えば夫が妻や子の分の保険料を負担しているのなら、夫がまとめて申告するとよいでしょう。
学生の子どもの国民年金保険料を親が負担していれば、親の社会保険料控除の対象となります。
年金受給者が受けられる控除は意外にある
年金受給者でもアルバイトに精を出している人、不動産賃貸で収入を得ている人などさまざまです。
そう多くもない年金から源泉徴収されているから、確定申告をしなくてもよいと思っていると、意外に損をすることもあります。所得の種類ごとの控除の仕組みをしっかりと把握して、節税を心がけましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部