更新日: 2022.04.13 控除

レシートだけではダメ? セルフメディケーション税制のポイントとは?

レシートだけではダメ? セルフメディケーション税制のポイントとは?
セルフメディケーション税制では、対象の医薬品を年間1万2000円以上購入した場合に、所得控除を受けられます。年間の医療費合計が10万円を超える(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)必要がある従来の医療費控除よりも、適用のハードルが低いのが特徴です。また、対象となる医薬品の数も多いです。
 
しかし「セルフメディケーション税制の対象医薬品や対象者は?」「セルフメディケーション税制の確定申告に必要なものは?」など疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。
 
本記事では、セルフメディケーション税制の対象医薬品や対象者・計算方法・確定申告で必要なものなどについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制とは、2017年1月にスタートした医療費控除の特例です。
 
人間ドックや予防接種などを受けている方が、自身または生計を一にする配偶者その他の親族のために対象医薬品を年間1万2000円以上購入した場合、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の選択適用を受けることが可能です。
 
ここでは、セルフメディケーション税制の対象医薬品や対象者、計算方法などについてみていきましょう。
 

対象の医薬品

セルフメディケーション税制は、医療用医薬品(医師が処方する医薬品)やスイッチOTC医薬品(医療用医薬品から市販薬に転用された医薬品)など、多くの医薬品が対象です。
 
厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」によると、令和4年4月1日時点で、スイッチOTCの対象品目は2607、非スイッチOTCの対象品目は3843あります。
 
対象製品の多くには、「セルフメディケーション税控除対象」と記された共通識別マークが入っています。
 

対象者

セルフメディケーション税制は、人間ドックや各種健診、予防接種などの「健康の維持増進」や「疾病の予防」として、一定の取り組みを行っている方が対象です。「一定の取り組み」に該当するものは、次のとおりです。

・保険者が実施する健康診査(人間ドック、各種健診・検診等)
・市区町村が健康増進事業として実施する健康診査やがん検診
・勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
・特定健康診査(メタボ検診)もしくは特定保健指導
・予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)

 

所得控除の計算方法

ここでは、セルフメディケーション税制を活用した場合の計算方法についてみていきましょう。
 
課税所得額400万円の方が、セルフメディケーション税制対象医薬品を年間5万円(生計を一にする配偶者その他の親族の分も含む)購入した場合の減税効果はどのくらいなのか、例として以下のとおりに計算します。
 
所得税率20%、住民税率10%の場合

・控除額:3万8000円(購入金額5万円-1万2000円)

・所得税減税額:7600円(控除額3万8000円×20%)

・住民税減税額:3800円(控除額3万8000円×10%)

 
上記より、1万1400円(所得税減税額7600円+住民税減税額3800円)の減税効果となります。なお、所得控除の上限は8万8000円となります。
 

セルフメディケーション税制の確定申告で必要なもの

セルフメディケーション税制の適用を受けるには、確定申告が必要です。対象の医薬品を年間1万2000円以上購入していたとしても、確定申告をしなければ控除を受けることはできません。確定申告に必要なものを事前に把握しておけば、スムーズに進められます。
 
ここでは、セルフメディケーション税制の確定申告で必要なものについてみていきましょう。
 

レシートや領収書、明細書

セルフメディケーション税制の確定申告には、レシートや領収書が必要です。確定申告の際に、対象医薬品の購入金額を計算して明細書を提出しなくてはいけないためです。レシートや領収書には、以下5つの情報が明記されている必要があります。

・商品名
・金額
・販売店名
・購入日
・購入した医薬品がセルフメディケーション税制対象である旨

上記内容がレシートや領収書に記載されていない場合は、薬局やドラッグストアなど購入先に確認しましょう。
 
なお、申告時にレシートや領収書の提出は不要です。ただし、レシートや領収書は5年間保管が必要となります。税務署から提示や提出を求められる場合がありますので、大切に保管してください。
 

健康診断や予防接種などの取り組みを行ったことを明らかにする書類

セルフメディケーション税制の確定申告には、特定健康診査(メタボ健診)やインフルエンザの予防接種、市町村が実施するがん検診など、健康の維持増進や疾病の予防として一定の取り組みを行ったことを明らかにする書類が必要です。
 
セルフメディケーション税制に該当する取り組みをした場合は、領収書や予防接種証、結果通知表などを保管しておきましょう。
 

レシートだけでなく健診など一定の取り組みを証明する書類が必要

セルフメディケーション税制であれば、対象医薬品を年間1万2000円以上購入し、健康の維持増進や疾病の予防など一定の取り組みを行っていれば、所得控除を受けることが可能です。
 
セルフメディケーション税制の適用を受けるには、レシートや領収書をもとに明細書を作成し、一定の取り組みを明らかにする書類を確定申告書と一緒に提出する必要があります。
 
セルフメディケーション税制の所得控除を考えている方は、レシートや領収書などの必要書類を大切に保管しておきましょう。
 
出典
厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について
国税庁 令和3年度 確定申告特集
国税庁 医療費を支払ったとき(医療費控除)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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