更新日: 2022.04.13 控除

PCR検査を自己判断で受けた場合は医療費控除の対象になる? その他の医療費控除についても解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

PCR検査を自己判断で受けた場合は医療費控除の対象になる? その他の医療費控除についても解説
新型コロナウイルスの流行によって、自身の安心のために、PCR検査を受けた人も多いでしょう。「この費用は医療費控除に含めてかまわないの?」と迷った人もいるのではないでしょうか。結論からいうと、自己判断で受けたPCR検査の費用は、医療費控除に含められる場合と含められない場合があります。
 
ここでは、PCR検査やその他の費用について、医療費控除の対象になるケースとならないケースをまとめました。年末調整や確定申告で間違わないよう、しっかりチェックしましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

医療費控除の対象となる医療費

 
はじめに、医療費控除の対象となる主な医療費は次のようなものになります。

●医師・歯科医師の診療、治療の費用
●治療、療養に必要な医薬品の購入費用
●治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などの施術費用
●保健師や看護師、准看護士に療養上の世話を受ける費用
●助産師の分べん介助の費用
●介護福祉士などの喀痰吸引などの費用
●通院費、医師などの送迎費、病室代、食事代、医療用器具などの購入代
●レンタル費用、診療や治療に必要な器具(義手、義足など)の購入費用
●介護保険制度による一定の施設、居宅サービスなどの費用

このほかに、PCR検査をはじめとした、医療費控除の対象に含められる場合と含められない場合のものがありますので、以下で説明します。
 

PCR検査は医療費控除の対象になる場合・ならない場合がある

新型コロナウイルスに感染している疑いがある人に対して、医師の判断でPCR検査を実施した場合、診療の一環として医療費控除の対象となります。しかし、陰性証明などの目的で自己判断によるPCR検査を受けた場合は、医療費控除の対象項目に該当しないため、控除を受けられません。
 
ただし、自己判断でPCR検査を受けた結果陽性と診断され、医師による治療を受けた場合は、PCR検査が治療に先立つ診察とみなされ、医療費控除の対象となります。
 

PCR検査以外の医療費控除の対象となる場合・ならない場合がある費用

 
PCR検査のように、ケースによって医療費控除の対象になったりならなかったりする費用はほかにもあります。主なものは、次のような費用です。

●人間ドック、健康診断費用
●メタボ健診の費用
●メガネの購入費用
●マッサージ・整体、はり・きゅう治療の費用
●通院費用

医療費控除の対象になる場合、ならない場合を、それぞれ解説します。
 

人間ドック・健康診断費用

 
人間ドックや健康診断の費用は、病気の診察や治療には当たらないため、原則として医療費控除の対象外です。しかし、人間ドックや健康診断を受けた結果、重大な病気がみつかり、引き続き治療を受けた場合は、健康診断などが診察に当たるとみなされ、医療費控除の対象となります。
 

メタボ健診の費用

 
メタボ健診の費用も、原則として医療費控除の対象とはなりません。しかし、健診で高血圧症、脂質異常症または糖尿病と同等の状態であると認められる基準に該当すると診断され、引き続き診断した医師の指示に基づいて特定健康指導が行われた場合には、その健診費用(自己負担額)も、医療費控除の対象となります。
 

メガネの購入費用

 
日常生活の必要性に応じて、近視や遠視などを矯正するメガネを購入した代金は、視力回復の治療にかかる費用ではないため、医療費控除の対象にはなりません。
 
しかし、白内障や緑内障、斜視といった手術後の機能回復のために短期間使うもの、幼児の未発達視力の向上に必要なものなど、医師が治療に必要と判断して装用を指示したメガネの購入費用は、医療費控除の対象となります。
 

マッサージ・整体、はり・きゅう治療の費用

 
上記の医療費控除の対象となる医療費にある、施術師によるマッサージ・整体や、はり・きゅう治療などの費用は通常、医療費控除の対象となります。ただし、疲労回復や体調を整えることを目的に受けた施術の費用は、病気やケガの治療とは直接関係がない費用のため、医療費控除の対象にはできません。
 

通院費用

 
通院費用は医療費控除の対象に含まれますが、基本的には電車やバスなどの公共交通機関を利用した際の費用に限られます。公共交通機関が利用できない、急を要するなど特別な理由がある場合は、タクシー代も控除の対象となります。
 
一方、自家用車で通院する際の燃料代や駐車場料金などは、医療費控除を受けられないため注意しましょう。
 

適用条件を確認して賢く医療費控除を受けよう

 
自己判断で受けたPCR検査の費用は、検査の結果、陽性が判明して治療を受けた場合を除いて、医療費控除の対象とはなりません。このほかの費用にも、ケースによって医療費控除の対象になる場合とならない場合がある費用は多数あります。医療費控除が適用される条件をきちんと確認して、医療費控除の適用を正しく受けましょう。
 
出典
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 医療費控除を受けられる方へ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー