更新日: 2022.04.24 控除

妊娠・出産費用はどこからどこまでが医療費控除の対象になる?

妊娠・出産費用はどこからどこまでが医療費控除の対象になる?
妊娠・出産は病気やけがではありませんが、医療費控除の対象となります。ただし、全ての妊娠・出産費用が医療費控除の対象になるわけではありません。
 
医療費控除の対象となる妊娠・出産費用をきちんと知っておけば、所得税や住民税を節約できます。
 
ここでは、医療費控除の対象になる妊娠・出産費用や、ならない妊娠・出産費用、注意点などを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

医療費控除とは?

 
医療費控除とは1年間(1月1日~12月31日まで)に支払った医療費が一定額を超えた場合、超えた医療費が所得金額から控除される制度です。
 
実際に支払った医療費の合計から、保険金などで補てんされた金額と10万円(1年間の総所得金額などが200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額)を差し引いた残りが医療費控除の対象となります。
 
医療費控除の計算式は下記のとおりです。
 
(実際に支払った医療費の合計-保険金などで補てんされる金額)-10万円=医療費控除額※上限200万円
 
医療費控除では、納税者と生計を一にする配偶者や親族が支払った医療費も含まれるため、出産のために支払った医療費も控除に含められます。
 

医療費控除の対象となる妊娠・出産費用

 
妊娠・出産費用で控除の対象となるのは、主に妊娠と判断されてからの定期検診や検査などの医療費です。
 
しかし、出産のために入院したときに購入した身の回り品や、入院中に外食した費用などは控除の対象となりません。図表1は、妊娠・出産に関する費用で、医療費控除の対象となる費用、対象にならない費用をまとめたものです。
 
図表1

医療費控除 妊娠・出産に関係する費用
対象となる ・妊娠と診断されてからの定期健診や検査などの費用
・定期健診や検査のための交通費(バス・電車)
・出産で入院するためのタクシー代
・出産のための入院費用(入院基本料や食事代など)
対象にならない ・定期健診や検査のために用いた自家用車のガソリン代や駐車場代
・実家で出産するために帰省した交通費
・入院時に購入した身の回り品の費用
・入院中に取った出前や外食の費用
・入院時の差額ベッド代(自己都合)

筆者作成
 
妊娠・出産費用の医療費控除を申請するのに、領収書を保管しておくことはもちろん、家計簿やアプリに費用の項目や状況などを細かく記録しておくと役立ちます。
 
申請時には、医療費控除の明細書に必要事項を記入し、確定申告書に添付して提出します。提出後、5年間は領収書などを保管する必要があるので、家計簿やアプリに記録しても、医療費の領収書は捨てないようにしましょう。
 
申告方法につきましては、次で説明いたします。
 

妊娠・出産費用の医療費控除の申告方法

 
医療費控除は妊娠・出産のみならず、1年間で発生した全ての医療費と合算できます。まずは、妊娠・出産費用を含めた全ての医療費を合算し、補てんされた金額と10万円を差し引いて、医療費控除額を算出しましょう。
 
次に、医療費控除を受けるためには確定申告を行わなければなりません。確定申告とは、前年の収支を報告して所得税を確定する制度です。
 
会社員の場合は、会社が年末に年末調整を行うことで、所得税の納税手続きが完了しているため、原則として確定申告をする必要はありません。しかし、医療費控除は年末調整の対象外となっており、別途申請する必要があります。
 
確定申告には下記の書類が必要になります。

●確定申告書AまたはB
●医療費控除の明細書
●医療通知書
●本人確認書類

毎年2月16日~3月15日頃までが確定申告の期間です。会社員などで確定申告の必要がなく還付申告のみの人は、翌年1月1日~5年後の12月31日までとなります。期間内に書類を用意したら、税務署に直接提出する、あるいは郵送するか、e-Tax(電子申告)を利用してオンラインで送信すれば、医療費控除の申告は完了です。
 

妊娠・出産費用の医療費控除の注意点

妊娠・出産費用の医療費控除を申し込むときは、下記に注意しましょう。

●出産一時金や出産費などは医療費の合計から差し引く
●妊娠・出産費用の領収書は5年間保管する
●書類に不備や添付漏れがないか確認する

また、医療費の領収書は確定申告時に提出する必要はありません。しかし、後からチェックが入ることがあるため、捨てずに自宅で5年間保管する必要があります。
 
もし、提出した際に数字の不備や、明細書の添付漏れなどがあると返却されます。また、税務署に直接提出した場合も、不備があれば指摘されるでしょう。
 
問題がなければ、通常は申告してから1ヶ月半前後で還付金が指定した口座に振り込まれます。
 

妊娠・出産費用は医療費控除の対象

まとめとして、医療費控除の対象となる妊娠・出産費用は下記のとおりです。

●妊娠と診断されてからの定期健診や検査などの費用
●定期健診や検査にかかった交通費(バスや電車、タクシーなど)
●出産で入院するためのタクシー代
●出産のための入院費用(入院基本料や食事代など)

このように、妊娠・出産費用も医療費控除の対象となります。
 
ただし、勤めている企業の年末調整では医療費控除の申告はできません。そのため、医療費控除を申告するなら、会社員でも確定申告を行う必要があります。
 
医療費控除は過去5年分まで申告できるため、出産や育児で忙しく、忘れてしまっても慌てずに翌年以降に申告しましょう。
 

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 No.1124 医療費控除の対象となる出産費用の具体例
国税庁 No.1126 医療費控除の対象となる入院費用の具体例
国税庁 医療費控除を受けられる方へ
国税庁 【税金の還付】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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