交通費でも上限を超えたら課税されるって本当? 上限はいくら?
配信日: 2022.04.24 更新日: 2022.04.25
交通費は、一定額までなら所得税がかからず非課税です。しかし、通勤距離や交通機関によって非課税にできる上限があります。上限を超えた部分は課税対象となります。
そこで、当記事では交通費の課税・非課税について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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交通費は一定額まで所得税がかからない
通勤時にかかる交通費は、所得税法第9条で「非課税所得」と決められているため、所得税計算の対象外です。勤務先まで多少の距離があっても税制面で不利になりませんが、非課税対象となる額には上限があります。上限額を超えた分は課税対象となるため注意してください。
また、通勤手段によって非課税限度額や非課税の条件が異なるため、この後で詳しく解説します。
公共交通機関は月15万円まで非課税
公共交通機関または有料道路を利用する人に支給される交通費は、月15万円までが非課税対象です。以前は非課税限度額が10万円でしたが、税制改正によって平成28年1月1日以後より15万円に引き上げられています。
具体的な条件は図表1を参考にしてください。
図表1
区分 | 課税対象にならない金額 | |
---|---|---|
交通機関または有料道路を利用している人の通勤手当 | 1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額(上限:15万円) | |
交通機関を利用している人の通勤用定期乗車券 | ||
交通機関または有料道路を利用する人+交通用具も使用している人の通勤手当や通勤用定期乗車券 | 1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額と「自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当」の合計額(上限:15万円) | |
自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当 | 片道55キロメートル以上 | 3万1600円 |
片道45キロメートル以上、55キロメートル未満 | 2万8000円 | |
片道35キロメートル以上、45キロメートル未満 | 2万4400円 | |
片道25キロメートル以上、35キロメートル未満 | 1万8700円 | |
片道15キロメートル以上、25キロメートル未満 | 1万2900円 | |
片道10キロメートル以上、15キロメートル未満 | 7100円 | |
片道2キロメートル以上、10キロメートル未満 | 4200円 | |
片道2キロメートル未満 | 全額課税 |
出典:国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて
非課税となる交通費の限度額は「最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の額」です。複数のルートがある場合、基本的に最短距離か最安値の経路かなどを、勤務している会社の規定に従って選ぶことになるでしょう。
マイカー・自転車通勤者も上限額以下なら非課税
マイカーや自転車、バイクなどの交通用具を使って通勤する場合、片道の通勤距離に応じて1ヶ月の非課税限度額が定められています。通勤手段が車であってもバイクであっても限度額に違いはありません。
マイカーや自転車などの通勤者が非課税となる1ヶ月当たりの限度額は、図表1を参考にしてください。
なお、1ヶ月当たりの非課税限度額を超えて通勤手当を支給する場合、超過分が課税対象です。超過分の交通費は、通勤手当支給月の給与から所得税と復興特別所得税が徴収されます。
非課税限度額を超えると課税対象
交通費が所得税の課税対象となるのは、非課税限度額を超えている部分(金額)と、自転車や徒歩などでの通勤距離が片道2キロメートル未満の場合です。
例えば、自宅から勤務先までの距離が片道18キロメートルで自動車通勤をしている人が、1万5000円の交通費を支給されていたとします。この場合、非課税になるのは1万2900円なので、差額の2100円が課税対象となります。
通勤費込みの給与は課税対象
給与と別に交通費が支給されるのではなく、交通費込みで給与を支給している場合、給与所得として所得税の課税対象です。
通勤手段によって非課税の上限額が変わる
マイカーや電車など、どの交通手段を利用するかによって、非課税の上限額が変わります。公共交通機関は月15万円まで非課税、マイカー・自転車通勤者は上限額以下なら非課税、非課税限度額を超えたら課税対象となります。
通勤するにあたって、交通費について気にする機会は意外と少ないかもしれません。ぜひ、この機会に自分の通勤交通費の内訳を改めて見直してみてはいかがでしょうか。
出典
国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて
国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
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