FXで利益が出たときの税金はどうする? 税金の種類や計算方法を解説
配信日: 2022.04.29
執筆者:荒木和音(あらき かずね)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
FXとは?
FXの正式名称は「外国為替証拠金取引」です。2国間の為替相場を予測し、通貨の売買を行います。レバレッジと呼ばれるこの原理を利用することで、少ない投資金額でも大きな資金の取引ができるのが魅力の金融商品です。
FXで発生する利益の種類
FXの取引で生まれる利益にはどのようなものがあるのでしょうか。
為替差益
FXは、為替レートの違いを利用して利益を狙う取引です。例えば、1ドル=100円のときにドルを買い、1ドル=120円になったタイミングでドルを売れば、差額の20円が利益となります。為替相場の変動によって得られる利益が「為替差益」です。
スワップポイント
2国間の金利差によって生じるのが「スワップポイント」です。日本円のような低金利の通貨を売って、トルコリラのような高金利の通貨を買うと、金利差分を受け取ることができます。
FXで利益が出た場合にかかる税金の金額は?
実際にFXで利益が出た場合の計算方法について説明します。
STEP1:所得を計算する
税金は、FXで得た利益の額面金額に対してかかるわけではありません。利益から諸経費を差し引いた「所得」を計算する必要があります。一般的に、書籍代やセミナー代など利益を出すために使ったお金が諸経費です。
例えば、為替差益で50万円、スワップポイントにより30万円の利益を得たケースでは、諸経費として10万円使っている場合、50万円+30万円-10万円=70万円が課税対象となる所得です。
STEP2:税率をかける
FXによる所得は、「先物取引に係る雑所得等」として課税されます。申告分離課税のため、確定申告が必要です。
税率は、所得税が15%、地方税が5%です。FXによる所得が100万円の場合は、100万円×(15%+5%)=20万円が課税される金額です。ただし、2037年までは復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加算されます。
利益が出ない場合も確定申告した方が有利になるケースもある
FXで利益が出なかった、あるいは損失を出してしまったときでも確定申告をした方がよいケースもあります。「先物取引に係る雑所得等」同士で損失を相殺できるのが「損益通算」の仕組みです。例えば株式の先物取引で50万円の利益を出している一方で、FXにより50万円の損失を出した場合には、所得はゼロとして計算されるため、課税対象とはなりません。
他の「先物取引に係る雑所得等」の金額と損益通算をしても、相殺できなかった金額については、翌年以降3年間にわたって「先物取引に係る雑所得等」の金額から控除できる「損失の繰り越し控除」の仕組みもあります。
確定申告する場合の注意点
FXの利益を確定申告する場合には金融商品取引業者(FX会社)が発行する「年間損益報告書」が必要となるため、事前に入手しておきましょう。
また、海外のFX口座で取引をすることにより得た利益は、通常の「雑所得」扱いです。総合課税として、給与所得や配当所得の合計額に応じて税率が決定されます。税率は最大45%となるため、国内FX口座で取引する場合と比べて税負担が重くなる可能性がある点には注意しましょう。
出典
国税庁 No.1521 外国為替証拠金取引(FX)の課税関係
国税庁 No.2260 所得税の税率
金融庁 外国為替証拠金取引について
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士