退職金3000万円受け取った! 所得税はどれくらいかかる?

配信日: 2022.05.14

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退職金3000万円受け取った! 所得税はどれくらいかかる?
退職金を受け取る予定だけれども、手元には一体どれぐらいのお金が残るのか不安に感じる人もいるでしょう。退職金は税の負担が少なくなるよう、他の所得とは分けて計算をします。また、勤続年数が長い人ほど税負担が軽くなるような制度がつくられています。
 
ここでは退職金が3000万円で勤続年数が38年のケースを例に、支払わなければならない所得税の額を計算していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

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長く勤めた人ほど退職所得金額控除が大きい

退職金は長年働いてきたことに対する感謝の意味がこめられていることから、他の給与所得などとは分けて税率を計算することになっています。また、退職給付にかかる税率は所得控除を長年働いてきた人ほど多めにとっているので、長く働いた人ほど税金の負担は軽くなります。
 
退職金の退職所得金額控除は、勤続年数が20年以下の人だと40万円×勤続年数、20年を超える人だと800万円+70万円×(勤続年数-20)で算出します。例えば、勤続年数が38年の人の退職所得金額控除は2060万円です。
 
なお、勤続年数が1年1ヶ月というように端数が出る場合は、繰り上げて2年として計算します。たとえ勤続年数が1年と1日であっても繰り上げて2年とみなします。また退職理由が障がい者になって勤務を続けられなくなったことに起因する場合、100万円を退職所得金額控除に加算します。勤続年数が38年の人だと、2160万円です。
 
なお、会社に勤めていた人が死亡したことで退職金を相続人が受け取った場合は、みなし相続財産として相続税を計算するため、所得税はかかりません。
 

勤続38年退職金3000万円の人の所得税額は?

退職金の課税所得金額は、退職金から退職所得金額控除を差し引いた額の2分の1です。例えば、退職金が3000万円、退職所得金額控除が2060万円の場合、3000万から2060万を引いた額の2分の1で、470万円が課税所得金額となります。
 
ただし、役員が役員として働いたことに対する退職金を受け取る場合で、役員として勤めた期間が5年以下の場合、退職金から退職所得金額控除を引いた額が課税所得金額となり、2分の1にはなりません。例えば、役員としての退職金が3000万円で勤続年数が5年の場合、2800万円が課税所得金額となります。
 
また、役員以外で勤続年数が5年以下の人が2022年1月以降に退職金を受け取る際にも、退職金が300万円を超えていたら、退職金から退職所得金額控除を引いた額が課税所得金額となります。
 
退職金の課税所得金額が算出されたら、そこに税率をかけて控除額を引き、所得税の額を算出します。計算式は課税所得金額×税率-控除額です。

課税所得金額が1000円以上195万円未満…税率5%、控除額0円
課税所得金額が195万円以上330万円未満…税率10%、控除額9万7500円
課税所得金額が330万円以上695万円未満…税率20%、控除額42万7000円
課税所得金額が695万円以上900万円未満…税率23%、控除額63万6000円
課税所得金額が900万円以上1800万円未満…税率33%、控除額153万6000円
課税所得金額が1800万円以上4000万円未満…税率40%、控除額279万6000円
課税所得金額が4000万円以上…税率45%、控除額479万6000円

退職金の課税所得金額が470万円の場合、税率は20%でそこから42万7000円を引いた51万3000円が退職金にかかる基準所得税の額です。なお、基準所得税に対し、2.1%の東日本大震災の復興特別所得税がかかるので、支払う所得税の額は52万3773円です。
 

勤続38年退職金3000万の人の所得税額は約52万円

退職金が3000万円の人が支払う所得税の額は52万3773円です。また、課税所得金額の10%の住民税がかかるので、住民税として47万円を納めます。残った2900万6227円が実際に受け取れる額です。なお、退職金をもらうまでに、企業に対し「退職所得の受給に関する申告書」を提出していないと、一律20.42%の所得税がかかり、それを確定申告の際に精算することとなるため注意が必要です。
 

出典

国税庁 退職金と税
人事院 退職手当に係る税金
国税庁 手続名 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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