老齢年金はいくらから課税対象になる? 非課税となるケースも解説
配信日: 2022.06.03
老齢年金は原則として課税対象です。しかし、控除できるものがあれば、確定申告をして所得税の還付を受けられたり、非課税となったりするケースも存在します。
当記事では、老齢年金の課税、非課税となるケースをはじめ、確定申告の必要性について詳しく解説します。老後の生活資金計画を立てる際の参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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老齢年金は原則として課税対象
公的年金には、老齢年金と遺族年金、障害年金の3種類があります。そのうち、老齢年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金など)は、所得の1つとなるため、原則として課税対象です。
所得税のほか復興特別所得税、住民税の対象となり、そのほかの所得と合算して雑所得で課税されます。
それに対し、遺族年金や障害年金は、非課税扱いです。
受給する年金が高額になるほど所得税率がアップする
所得税は、国税庁のホームページにある速算表にて簡単に計算できます。
住民税は、居住する市区町村によって計算方法が異なるものの、課税所得の10%である所得割に均等割額を加算するケースがほとんどです。
所得税の速算表は、図表1を参考にしてください。
【図表1】
課税所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円以上330万円未満 | 10% | 9万7500円 |
330万円以上695万円未満 | 20% | 42万7500円 |
695万円以上900万円未満 | 23% | 63万6000円 |
900万円以上1800万円未満 | 33% | 153万6000円 |
1800万円以上4000万円未満 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
課税所得金額が高くなるほど所得税率が上がります。現在、受け取っている公的年金が高額だったり、公的年金以外に収入源があったりすると所得税が高くなってしまいます。
年金が非課税となるケース
65歳未満で収入が公的年金のみの年金受給者は、年間給付額108万円以下なら非課税扱いです。また、65歳以上で収入が公的年金のみの年金受給者であれば、年間給付額158万円以下で非課税扱いです。
雑所得として取り扱われる年金給付額は、基礎控除と公的年金等控除を差し引いて課税額を計算します。その額が0円になった場合に非課税となり、公的年金に税金がかかりません。
確定申告不要制度に該当すれば確定申告が不要
公的年金による収入、そのほかの所得の状況によって、確定申告が必要なのか不要なのかが決まります。
なお、確定申告不要制度に該当すれば確定申告が不要です。以下の要件に該当するかどうかをチェックしておきましょう。
●公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下
●公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下
公的年金の合計額には、老齢基礎年金や老齢厚生年金以外に、確定給付企業年金等の企業年金も含まれます。また、雑所得以外の所得金額は、給与所得や不動産所得も該当します。
公的年金等の収入金額の合計額が400万円を超えるケースは少ないかもしれません。公的年金を受け取りながら、給与所得を得ている人の所得金額が年間20万円を下回るケースも少ないでしょう。その場合、確定申告不要制度の対象になりません。また、給与以外に賃貸物件や土地などの不動産収入がある場合も同様です。
いずれにせよ、お伝えした2つの要件を満たせば確定申告は不要ですが、受け取る年金から税金が源泉徴収されます。
確定申告不要制度に必要な手続きは、「扶養親族等申告書」を1年に1回提出するだけです。公的年金等控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除が反映された所得税や住民税が、年金から自動で差し引かれます。
課税対象・非課税対象となる年金を確認しておこう
老後の生活資金源となる公的年金に税金がかかるケースをはじめ、非課税になるケースについて解説しました。最後に記事の要点を振り返ってみましょう。
●年金受給額に関する非課税限度額は、年金受給者の年齢や収入によって異なる
●遺族年金や障害年金は、年金の非課税所得に含まれる
●公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下なら確定申告不要
税額や確定申告が必要かどうかの判断が難しければ、管轄する税務署や市区町村役所に相談してみるのがスムーズです。
出典
国税庁 確定申告が必要な方
日本年金機構 所得金額の早見表
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2260 所得税の税率|国税庁
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1600 公的年金等の課税関係
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部