更新日: 2022.06.03 控除

かさむマスク代や消毒代…。医療費控除の対象になる?

かさむマスク代や消毒代…。医療費控除の対象になる?
新型コロナウイルス感染症の流行にともない、欠かせなくなったマスクや消毒用品の費用がかさみ「せめて医療費控除を受けられれば……」と考えている人もいるでしょう。しかし残念ながら、これらの費用は医療費控除の対象とはなりません。
 
ここでは、マスクや消毒用品が医療費控除の対象にならない理由や、新型コロナウイルス感染症に関係する諸費用が医療費控除の控除になるケース、ならないケースを紹介します。ぜひチェックして、確定申告時の参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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新型コロナウイルス感染症予防のためのマスク代や消毒代は医療費控除の対象外

新型コロナウイルス感染症の流行拡大にともない必需品となったマスクや消毒用品ですが、これらの購入費用に医療費控除は適用されません。なぜなら、マスクや消毒用品は病気の治療や療養に必要なものではなく、感染の予防を目的とするものだからです。
 
医療費控除の対象となるのは、病気やけが、障害などが実際に生じたときにかかった診療や治療、療養上の世話などを受けるのにかかった費用や、治療や療養に必要な医薬品などの購入費用です。主に次のようなものがあります。
 

・医師、歯科医師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる診療や治療の対価として支払った費用
・治療や療養に必要な医薬品を購入した費用
・保健師、看護師、准看護師などによる療養上の世話の対価として支払った費用
・診療、治療などに必要な通院費、医師などの送迎費
・入院時の部屋代、食事代
・治療や療養に必要な医療用器具などの購入費用やレンタル費用

 
病気の予防や健康増進などを目的とした費用(健康診断費やサプリメント購入費など)は、たとえ医療機関や薬局で支払ったものでも、医療費控除の対象とならないため注意が必要です。

 

その他、新型コロナウイルス感染症関連で医療費控除の取り扱いはどうなっている?

新型コロナウイルス感染症の流行下においては、感染の有無を確認するためにPCR検査などの検査を受ける、人との接触を避けてオンライン診療を受けるといったケースが増えています。これらの費用については医療費控除の対象となるもの、ならないものがあるため、確定申告時に間違うことのないよう、あわせて確認しておきましょう。

 

PCR検査費用は対象となるケース・ならないケースがある

PCR検査の費用が医療費控除の対象になるかどうかについては、検査を受けた経緯や検査の結果によって扱いが変わります。PCR検査の費用が医療費控除の対象となるのは、次の場合です。
 

・感染の疑いがあるなどの理由で、医師などの判断によってPCR検査を受けた場合
・PCR検査の結果が陽性で、引き続き治療を受けた場合

 
これらのケースでは、PCR検査は病気の診療の一環であるとみなされ、費用のうち自己負担部分が医療費控除の対象となります。
 
一方、感染の不安解消や陰性証明などを目的に自己判断でPCR検査を受けた場合の費用は、医療費控除の対象外です。

 

オンライン診療費用は医療費控除の対象となる

オンライン診療を利用して医師などによる診療や治療を受けた場合、かかった費用は医療機関に通院して診療や治療を受けたのと同様の扱いです。そのため、次の費用のうち、診療や治療、療養に必要なものについては医療費控除の対象となります。
 

・オンライン診療料
・オンラインシステム利用料
・処方された医薬品の購入費用

 
ただし、処方された医薬品を受け取るのに配送料が発生した場合、配送料は医薬品の購入費用ではないため、医療費控除の対象にはなりません。

 

感染予防目的の費用は医療費控除の対象外

新型コロナウイルス感染症の流行により、以前と比べて衛生用品を購入したり、医療機関などを利用する機会が増えたりした人は多いでしょう。新型コロナウイルス感染症に関係した費用の医療費控除について考えるときは、病気の診療や治療、療養に必要な費用かどうかで判断する必要があります。
 
マスクや消毒用品は治療や療養ではなく予防を目的とするものであるため、医療費控除の対象にはなりません。また、PCR検査やオンライン診療についても、診療や治療、療養に直接関係ない費用は医療費控除の対象外となるため注意しましょう。

 

出典

国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 令和3年分 確定申告書等作成コーナー よくある質問 Q新型コロナウイルス感染症を予防するためのマスクの購入費用は医療費控除の対象となりますか。
国税庁 4 新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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