更新日: 2022.06.13 その他税金
実家を空き家にしておくとどんな費用が発生する? 空き家になる前にできる対策とは?
そこで、空き家のままにすることになった場合の維持管理における手段や費用に、頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。実家を空き家のまま所有していると、税金のほかに修繕費用をはじめとする大きな費用がかかる可能性があります。
本記事では、空き家にかかる税金や維持管理費用の種類と、維持管理に延々と費用をかけずにすむための空き家になる前にできる対策をまとめました。ぜひ、将来実家をどうするかを家族で考えてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
空き家にかかる税金
土地・家屋を所有している場合「固定資産税」が課せられます。これは、人が住んでいる家でも空き家でも同様なので、実家を空き家にしておく場合にも必ず発生します。
また、実家が都市計画法による市街化区域にある場合は、「都市計画税」も課せられます。土地・家屋の固定資産税、都市計画税の納税額は、通常次の式で計算します。
土地家屋の評価額に基づく課税標準額×市区町村ごとの税率
課税標準額は原則3年ごとに更新(評価替え)されます。また、税率は市区町村ごとに異なります。例えば東京23区の税率は固定資産税:1.4%、都市計画税:0.3%です。土地が住宅用地であれば、課税標準額には次の特例が適用されます。
・住宅一戸あたり200平方メートルまでの部分:固定資産税は価格の6分の1、都市計画税は価格の3分の1
・住宅一戸あたり200平方メートルを超える部分:固定資産税は価格の3分の1、都市計画税は価格の3分の2
税額は土地・家屋の評価額にもよりますが、数万~数十万円が目安です。
空き家が建つ土地は固定資産税・都市計画税の特例除外に注意
所有する住宅が空き家の場合、以下の条件に当てはまると「特定空家等」に認定されることがあります。
・そのまま放置すると倒壊などの重大な危険が生じるおそれがある
・そのまま放置すると衛生上著しく有害となるおそれがある
・適切に管理されていないために著しく景観を損なっている
・そのほか、周辺の生活環境を守るために放置できない状態である
「特定空家等」に認定されたにもかかわらず、自治体からの改善の勧告に対応しないでいると、住宅用地の特例が適用されなくなります。
つまり、実家を空き家にして荒れたまま放置していると、固定資産税、都市計画税の金額が従来支払ってきた金額の何倍にも膨れる可能性があるということです。これを回避するには、実家が遠方の場合などにも常に状態を把握して、適切に管理していく必要があります。
空き家の維持に必要な税金以外の費用
まったく使われていない家であっても、なにも手を入れないまま何年も放置しておくわけにはいきません。空き家のまま荒れてしまうと、資産価値が失われるだけでなく、倒壊など周囲に迷惑をかける可能性や、固定資産税・都市計画税の特例を受けられなくなるリスクがあります。
定期的に様子を見に通い、必要に応じて経年劣化した部分の修繕や庭木の剪定や雑草の駆除などの管理をする必要があるでしょう。そのため、管理費用がかかることも念頭に置いておく必要があります。主な費用として考えられるのは、次のようなものです。
・光熱費(基本使用料、土地・家屋の手入れに使用する水道、電気の従量使用料など)
・修繕や剪定・除草などの費用(道具の購入費用、業者への委託料など)
・管理に通う交通費(燃料代、高速代、交通機関の料金など)
どのくらいの費用がかかるかは実家の状態や手入れの頻度にもよりますが、年間数万円から場合によっては数百万円の費用がかかることもあります。
実家が空き家になる前にできる対策
空き家になった実家の維持費用を発生させないためには、親が住まなくなったあとに土地・家屋を誰がどうするのかを、家族で早めに話し合っておくことが大切です。親が住まなくなった実家の扱いとして、次のような選択肢があります。
・建物ごと売却する
・さら地にして土地活用する
・リノベーションして貸し出す
・賃貸物件に建て替える
・家族の誰かが住み継ぐ
将来どうするかに合わせて、親が住んでいるうちに次のような対策をとっておくとよいでしょう。
・相続などの手続きがスムーズにできるよう、不動産登記の名義を現在の所有者にきちんと書き換える
・売却しやすいように居住中のリフォームの記録などは残しておく
・快適に住み継げるよう長期優良住宅にリフォームしておく
大きな維持費用がかかる前に空き家にしない対策を
親が住まなくなった実家を所有していると、所有者に固定資産税・都市計画税などの税金が課せられます。これは空き家ではない場合にもかかる費用ですが、空き家のまま家屋や土地が荒れてしまうと「特定空家等」として住宅用地の特例から除外され、税金が高くなる可能性があるため注意が必要です。
また、空き家になった実家を管理するのにも、光熱費や手入れを委託した業者の費用、管理に通う交通費などの費用がかかります。空き家の維持管理に大きな費用をかけないためには、親が住まなくなったあとに実家をどうするかを空き家になる前に決めておきましょう。
そして、将来処分や活用がしやすいように住んでいるうちから対策しておくことが大切です。
出典
東京都主税局 税金の種類 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
東京都主税局 都税Q&A 都税:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
東京都主税局 「特定空家等」に該当すると土地に対する固定資産税・都市計画税の税額が高くなる場合があります
千葉市 固定資産税の税額計算
千葉市 都市計画税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部