個人事業主が支払う「個人事業税」って? 「エンジニア」や「ライター」は払わなくてもいいって本当?

配信日: 2022.06.20

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個人事業主が支払う「個人事業税」って? 「エンジニア」や「ライター」は払わなくてもいいって本当?
一定の条件を満たした個人事業主が支払う税金に、個人事業税があります。東京都によると、地方税法等で定められた事業に対して課せられる地方税の一つです。
北川真大

執筆者:北川真大(きたがわ まさひろ)

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個人事業税が課せられる事業と税率

個人事業税が課せられる事業は法定業種と呼ばれ、種類と税率は図表1の通りです。
 
図表1 法定業種の種類と税率

主な事業の種類 税率
第1種事業(37業種) 不動産業、物品販売業、飲食業 5%
第2種事業(3業種) 畜産業、水産業 4%
第3種事業(30業種) 各種士業 5%
あんま、マッサージなどその他の医業に類する事業 3%

出典:東京都主税局「法定業種と税率」より筆者作成
 
所得税の確定申告や住民税の申告をした人は、個人事業税は申告不要です。
 

個人事業税を払わなくてもいい人

個人事業税は所得税や住民税と異なり、個人事業主全員に課せられる税金ではありません。以下の条件を満たした人は負担しません。
 

所得が年間290万円以下の人

個人事業税は事業主控除が290万円あるため、290万円以下の所得なら個人事業税はかかりません。所得は収入から必要経費を引いた金額になるので、収入が290万円を超えても経費を引いて290万円以下なら個人事業税は非課税です。営業期間が1年に満たない場合は月割になりますので、計算違いに注意しましょう。
 

法定業種に該当しない業種を営む人

エンジニア、ライター、プログラマー、デザイナーなどは法定業種ではないため、年間290万円を超える所得があっても個人事業税は非課税です。ただし、仕事内容によっては第1種事業の中の「請負業」と判断されることもあります。
 
請負業と判断するかどうかは税務署の裁量ですが、ライター、エンジニア、プログラマー、デザイナーでも実質上の請負となっている場合は注意が必要です。国税庁のサイトによると、「請負業には、事務処理の委託を受ける業が含まれる」との記載があります。契約上は業務委託であっても、請負業とみなされる可能性があることは覚えておきましょう。
 

免除対象となり、免除の申請をした人

以下に該当する場合、個人事業税の減免が受けられます。
 

(1)災害等により損害を受けた人
(2)生活保護法により生活扶助を受けている人
(3)高額な医療費の支出があった人
(4)納税者または扶養親族等が障害者である人
(5)事業用に省エネ設備を取り付けた人

出典:東京都主税局「減免の対象、申請期限、手続」より筆者作成
 
どれくらい減額されるか、または免除されるかは、上記(1)~(5)によって異なります。
 

個人事業税に注意しよう

個人事業税は、290万円を超えた所得があって初めて発生する税金です。エンジニア、ライター、プログラマーなどの、法定業種に該当しない個人事業主にも、個人事業税はかかりません。
 
ただし法定業種の中には判断が難しいものもあり、請負業はその一つです。エンジニア、ライター、プログラマー、デザイナーの場合、仮に受託として仕事を受けていた場合でも、実質上の請負業として個人事業税が課される可能性もあります。
 
安易な判断をせずに税理士の助言や指導を受け、個人事業税は正しく申告しましょう。
 

出典

東京都主税局 個人事業税の概要
国税庁 第11款 請負業
 
執筆者:北川真大
2級ファイナンシャルプランニング技能士・証券外務員一種
 

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