相続時精算課税制度を使った方がお得な人ってどんな人?
配信日: 2022.07.19
相続時精算課税制度を利用すれば、贈与を受ける財産の特性によっては、節税になります。相続時精算課税制度はどのような人が利用すればメリットがあるのか、解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度とは、親または祖父母が所有している財産を、子や孫に早めに移転できるように、贈与税の負担を軽減する制度のことです。相続時精算課税制度を適用すると、相続が発生したときに、相続財産と贈与財産を合わせて相続税が計算されます。
相続時精算課税制度では、2500万円までの贈与に贈与税がかかりません。2500万円を超える贈与分に対しては一律20%の贈与税がかかりますが、支払った税額は相続時、相続税から控除されます。相続税が少なく控除し切れない場合は、還付を受けられます。
例えば、贈与財産の合計が4000万円の場合、相続時精算課税制度の適用で2500万円までは贈与税がかからず、残りの1500万に対しては20%の税率がかかるというわけです。
なお、1500万円にかかる贈与税の300万円は、相続時に相続税から控除されます。
相続時精算課税制度は、暦年課税という通常の贈与と選択適用となります。そのため、相続時精算課税制度を選択した場合、暦年課税で適用になる基礎控除110万円は使えません。
また、相続時精算課税制度を選択した場合、暦年課税には戻れない点には注意が必要です。
相続時精算課税制度を使った方がよい人の特徴
相続時精算課税制度を利用すればメリットがある人は、次のような特徴があります。
●利益を生む財産を保有している人
●将来値上がりしそうな財産を親世代が持っている人
それぞれの内容を詳しく解説します。
利益を生む財産を保有している人
将来利益を生み出す財産を持っている場合は、相続時精算課税制度を利用すると、相続時にメリットがあります。
マンションやアパートなどの賃貸物件を所有している場合を例に、考えてみましょう。
相続時精算課税制度を使わない場合は、賃貸物件に加えて、相続時までに生み出す家賃収入が、現預金として相続税の対象となります。
一方、相続時精算課税制度を使った場合、相続税の対象となるのは、賃貸物件だけです。贈与時から相続時までに生み出した家賃収入は受贈者の利益になるだけで、相続税は課せられません。
相続時精算課税制度を使って賃貸物件を早めに子世代に贈与すれば、相続時までに生み出す利益分に対して相続税が課せられないので、大きな節税になるのです。
将来値上がりしそうな財産を持っている人
将来値上がりすることが予想できる財産の贈与を受ける場合は、相続時精算課税制度を利用すれば節税になることがあります。
相続時精算課税制度を適用して贈与した財産は相続の際に、相続時の時価ではなく贈与時の時価で計算されるからです。値上がりする前に贈与を受けた方が、相続税の課税価格を抑えられます。
例えば、贈与を受ける不動産の近隣に、数年後大規模なイベントが予定されている場合は、将来不動産の値上がりが期待できます。また、再開発が進んでいる場合も同様です。
さらに株式を保有している場合、社会情勢や経済の動向、会社の業績などによって、将来的に値上がりする場合があります。
将来的に不動産や株式などの、値上がりが予想できる財産を親世代が保有している場合は、相続時精算課税制度を利用すれば、相続財産の評価額が引き上げられるリスクに備えることが可能です。
所有している財産の特性によっては、相続時精算課税制度を利用した方がいい場合もある
親や祖父母が賃貸不動産を保有している場合や、不動産や株式など将来値上がりが期待できる財産を保有しているときは、相続時精算課税制度の利用を検討するのがおすすめです。
なお、相続時精算課税制度を使う場合、最初の贈与があった年の翌年2月1日~3月15日までに、管轄の税務署に「相続時精算課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
親世代から財産を引き継ぐ際は、相続時精算課税制度を上手に活用して、スムーズに受け取りましょう。
出典
国税庁No.4103 相続時精算課税の選択
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部