更新日: 2022.07.21 控除

所得控除はどのようなものが該当する? 確定申告する際に知っておきたいこと!

所得控除はどのようなものが該当する? 確定申告する際に知っておきたいこと!
確定申告にあたっては、所得控除をすることが可能です。簡単にいうと、所得金額から一定の金額を差し引ける制度を指します。納めるべき所得税は所得金額に応じて決まる以上、所得金額が少なくなれば、結果として所得税も安くなるはずです。
 
そして、ひとくちに所得控除といっても、実際にはさまざまな種類があります。そこで今回の記事では、所得控除にはどんなものがあるのか、詳しく解説していきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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所得控除の種類

2022年7月現在、所得控除は15種類あります。図表1にまとめました。
 
【図表1】

控除の種類 控除が受けられるケース
雑損控除 災害や盗難、横領によって住宅や家財などに損害を受けた場合
医療費控除 一定額以上の医療費の支払がある場合
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済法の共済契約に係る掛け金、確定拠出年金法の企業型年金加入者掛金及び個人型年金加入者掛金、心身障害者扶養共済制度に係る掛け金の支払がある場合
生命保険料控除 新(旧)生命保険料や介護医療保険料、新(旧)個人年金保険料の
支払がある場合
地震保険料控除 地震保険料や旧長期損害保険料の支払がある場合
寄附金控除 国に対する寄附金やふるさと納税(都道府県・市区町村に
対する寄附金)、特定の政治献金などがある場合
寡婦控除 納税者が「ひとり親」に該当しない寡婦である場合
ひとり親控除 納税者が一定の条件を満たすシングルマザー・シングルファーザー(ひとり親)である場合
勤労学生控除 勤労学生である場合
障害者控除 控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合
配偶者控除 控除対象配偶者がいる場合
配偶者特別控除 合計所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が
38万円を超え、76万円未満である場合
扶養控除 控除対象扶養親族がいる場合
基礎控除 確定申告をする人なら全員利用可能(ただし、所得額によって金額は変わる)

出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」より筆者作成
 

主要な所得控除の解説

所得控除には15種類ありますが、一定の条件にあてはまらないと利用できないものも、たくさんあります。そこでここでは、比較的多くの人が利用できる可能性が高い項目に絞って、詳しく解説しましょう。
 

基礎控除

基礎控除とは、すべての納税者が無条件で差し引ける所得控除のことです。2019年までは、納税者なら一律38万円と定められていましたが、2020年以降は所得に応じて決まる仕組みに変わっています。
 
【図表2】

所得金額 基礎控除額
2400万円以下 48万円
2400万円超2450万円以下 32万円
2450万円超2500万円以下 16万円
2500万円超 適用無

出典:国税庁「No.1199 基礎控除」
 

雑損控除

雑損控除とは、本人または配偶者、生計を一にしている親族の財産に対して損害が発生した場合、一定の条件にあてはまれば控除が受けられるというものです。条件を図表3にまとめました。
 
【図表3】

資産の要件 1.納税者

2.納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者

損害の原因 次のいずれかの場合
●震災、風水害、冷害、雪害、落雷など
自然現象の異変による災害
●火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
●害虫などの生物による異常な災害
●盗難
●横領

出典:国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」より筆者作成
 
なお、実際に雑損控除を受ける際には、消防署や警察署が発行する被害届提出用の証明書や、災害等に関連した出費に関する領収書が必要になります。
 

医療費控除

自分や、生計を同じくする家族のために医療費を支払った場合に利用できる所得控除です。病院・クリニックでの診察・治療代だけでなく、向かう際の電車・バス代など、広い項目を医療費に含められます。最大で200万円の控除が受けられるので、対象となる費用はもれなく申告しましょう。
 
また、セルフメディケーション税制による控除も利用できます。ドラッグストアなどで対象となる薬を購入した場合、毎年健康診断を受けているなど一定の条件を満たせば、一定の金額の所得控除が受けられるという制度です。ただし、通常の医療費控除との選択適用となり、併用することはできません。
 

社会保険料控除

本人や配偶者、扶養家族のため支払った国民健康保険料や国民年金などの社会保険料は、全額控除対象となります。社会保険料は合計するとかなりの金額になるので、忘れずに手続きしましょう。
 
なお、社会保険料控除を受けるには、確定申告の際に、国民健康保険料や国民年金を支払ったことが分かる証明書を添付する必要があります。
 

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための積立金による退職金制度です。加入すると毎月掛け金を支払いますが、この掛け金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得から控除することができます。
 
結果として支払うべき所得税が少なくなるため、節税対策として有効に活用することが可能です。
 

所得控除を受けるには忘れずに手続きを

所得控除を受けるためには、確定申告書に必要事項を記入した上で、必要な書類があれば添付しないといけません。つまり、自分から動かないといけないため、早めに準備し、忘れずに手続きを行いましょう。
 
また、自分がどの所得控除を受けられるのか分からない場合は、事前に税務署に出向き、相談するのも1つの方法です。
 

出典

国税庁 所得から差し引かれる金額(所得控除)
国税庁 NO.1199 基礎控除
国税庁 No.1100 所得控除のあらまし
国税庁 No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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