更新日: 2022.07.22 その他税金
【電子書籍なら最大70%!?】「紙」と「電子」の違いや確定申告の注意点など「印税の仕組み」を解説
本記事では、印税の仕組みや気を付けておくべき注意点を解説します。印税の仕組みを知りたい人や、印税収入を得たい人も参考にしてください。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
印税の仕組みを決める3つの要素
印税は媒体や出版社にもよりますが、一般的に以下の3つの要素を掛け合わせて決まります。
●販売価格
●発行部数
●印税率
契約時に「売れた分だけ印税をかける」と「発行部数だけ印税をかける」のどちらかを選びます。印税率は紙の書籍だと5~10%が相場です。例えば、販売価格が2000円で、発行部数4000部、売れた部数が3000部、印税率が5%だと以下の金額が印税になります。
2000円×3000部×5%=30万円
2000円×4000部×5%=40万円
このように一般的には「販売価格」「発行部数」「印税率」で決められています。契約時の印税のかけ方によって受け取れる印税が違う点は押さえておきましょう。ちなみに、自費出版の場合、本の売り上げから、自費で負担した費用を差し引いた分が利益です。
そのため自費出版には「印税」という概念がありません。
また、電子書籍の印税率は、35%や70%と書籍より印税率が高いです。紙の書籍と違い電子書籍は経費が抑えられますので、印税率が高くなります。
印税の注意点1:源泉徴収
印税には源泉所得税がかかりますので、源泉徴収される点に注意してください。「源泉徴収」とは、あらかじめ支払う報酬から税金を差し引くことです。源泉徴収される方法は、印税の金額によって計算が変わります。
●印税が100万円以下:10.21%
●印税が100万円以上:(印税額-100万円)×20.42%+10万2100円
仮に印税が200万円だった場合は
(200万円-100万円)×20.42%+10万2100円=30万6300円
源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額は30万6300円になります。そのため、印税が200万円でも実際に手元に入ってくるのは約170万円です。
印税の注意点2:確定申告
印税で気を付けたいことは、確定申告が必要な点です。出版や原稿料で印税が入った場合は、事業か副業かで所得区分が変わります。
●メイン事業としての印税は「事業所得」
●副業としての印税は「雑所得」
「雑所得」として扱われる場合、年間20万円を越える印税が入ると確定申告が必要です。事業所得に該当するか、雑所得に該当するかは事前に確認しておきましょう。
印税は仕組みが分かればシンプルだが税金は複雑なのでしっかり理解しておく
印税の仕組みについて解説しました。印税は「販売価格」「発行部数」「印税率」で決まります。仕組みがシンプルなので分かりやすい分、本業か副業かで所得区分が変わるので注意しましょう。
個人でも副業で書籍を出版できる時代です。事前にどの区分になるのか、きちんと確認しておいた方がよいでしょう。
出典
Amazon kindle 電子書籍のロイヤリティ オプション
国税庁 No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき
国税庁 副収入などがある方の確定申告
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー