更新日: 2022.07.22 税金

テレワークで移住すると、社会保険料が増える? 交通費と標準報酬月額の関係とは

執筆者 : 柘植輝

テレワークで移住すると、社会保険料が増える? 交通費と標準報酬月額の関係とは
コロナ禍でテレワークが増えたことを機に地方へ移住すると、通勤手当(交通費)の増加によって、社会保険料の負担が大きくなる可能性があります。
 
テレワークによる移住を考えている方に知っていただきたい、通勤手当と標準報酬月額の関係について解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

移住後は通勤にかかる交通費に注意

テレワークにより、出社する日が週1回や2回に減ったことを機に地方に移住した場合、会社から支給される通勤手当が、今までより増えるということがあります。例えば、これまでは会社がある東京都内に住んでいた方が、地方に移住して、出社が必要なときは新幹線通勤をするというようなケースです。
 
こういったケースで、交通費は全額、またはほぼ全額が会社から通勤手当として支給されるため、自身の金銭的負担は発生しないと思ったら大間違いです。
 
確かに会社から支給される通勤手当は、一定額までは非課税となり、所得税や住民税の課税対象とはなりません。しかし、通勤手当が増えることによって、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料の負担が増加することがあります。
 

通勤手当は標準報酬月額の算定に含まれる

非課税限度額の範囲内であれば、通勤手当に税金がかかることはありませんが、健康保険料や厚生年金保険料など、社会保険料を算定する際の基礎となる「標準報酬月額」の対象の報酬(報酬月額)には含まれます。
 
標準報酬月額とは、会社から支給される給与(基本給以外にも残業手当や役職手当、通勤手当など各種手当を含む)を基にした、報酬月額の区分に応じて決定されるもので、標準報酬月額の等級で、社会保険料が決まることになります。
 
標準報酬月額は原則、4月から6月の3ヶ月間に支給される給与の平均で決まります。例えば、通勤手当などを含めた給与の総額が、4月は22万円、5月は26万円、6月は21万円という場合、3か月の平均(23万円)が報酬月額の区分では「23万円以上25万円未満」となり、標準報酬月額は24万円に該当します。
 
この場合、健康保険料の等級は19等級で月1万1772円(40歳以上で介護保険料を含む場合は1万3740円)、厚生年金保険料の等級は16等級で月2万1960円、合計で月3万3732円の自己負担となります(令和4年3月分から。東京都の例)。
 
なお、雇用保険料の労働者負担は、通勤手当を含めた毎月の給与の総額の1000分の3です(令和4年10月以降は1000分の5)。
 

通勤手当が増えると社会保険料の負担はどうなるか

では、テレワークをきっかけに移住したことで通勤手当が増えた場合、標準報酬月額の変化によって、毎月の社会保険料がどれくらい増えるのか確認していきましょう。
 
前述した標準報酬月額(23万円)の例で、通勤手当が毎月10万円増えたと仮定すると、給与総額は4月が32万円、5月が36万円、6月が31万円で平均は33万円となり、報酬月額(33万円以上35万円未満)に基づく標準報酬月額は34万円に該当します。
 
健康保険料は24等級で月1万6677円(介護保険料を含む場合は1万9465円)、厚生年金保険料は21等級で月3万1110円、合計で月4万7787円となり、毎月の負担は1万4055円増えます。
 
また、通勤手当により給与総額が増えた分、毎月の雇用保険料も増加します。
 

社会保険料の負担増加はマイナス部分だけではない

とはいえ、社会保険料の負担額が増えることは、一概にマイナスばかりとはいえません。例えば、厚生年金保険料の納付額が増えると、将来受けられる厚生年金の金額が増加することになります。
 
また、健康保険料を多く納めることになると、病気などの際に受け取れる傷病手当金の給付額が増えます。
 

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テレワーク移住で社会保険料が増える可能性がある

テレワークの増加を機に地方へ移住し、たまの出社時にかかる交通費が今までより高額になると、支給される通勤手当が増えることで標準報酬月額が上がり、社会保険料の金額も高くなってしまう可能性があります。社会保険料を多く負担することで、健康保険や将来の年金の給付はより手厚くなるものの、現在の手取りが減ってしまうのも事実です。
 
移住を検討する際は、通勤手当と社会保険料の関係についても理解しておく必要があるでしょう。
 

出典

国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて
全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)
厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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