更新日: 2022.08.11 確定申告
競馬でいくら利益が出たら確定申告が必要? 外れ馬券は経費にできる?
では、競馬でどのくらいの利益が出たら確定申告が必要になるのでしょうか? また、外れ馬券は経費にできるのでしょうか?
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
公営ギャンブルのもうけにかかる税金
公営ギャンブルには、競馬、競輪、オートレース、ボートレース(競艇)などがあります。
競馬の馬券や競輪の車券の払戻金などは、いずれも一時所得となり、以下の方法で所得を計算します。
一時所得の計算方法
総収入金額-収入を得るために支出した金額(注)-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
(注)その収入を生じた行為をするため、または、その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限る。
つまり、競馬などの払戻金を含めて、その年に得られた一時所得が年間で50万円を超えた場合には確定申告が必要となります。
例えば、競馬で馬券を1万円分購入し、100倍の万馬券を当てて100万円の払い戻しを受けた場合、一時所得の金額は49万円となります。
49万円(一時所得の金額)=100万円(総収入金額)-1万円(収入を得るために支出した金額)-50万円(特別控除額)
一時所得は総所得金額を求める際、その2分の1相当の金額を給与所得など他の所得と合算しますので、この場合の課税対象は24万5000円となります。
なお、ここでの一時所得の「収入を得るために支出した金額」とは、「当たり馬券」の購入代金を指します。
1年間で100万円以上の馬券を購入しているという場合でも、残念ながら「外れ馬券」は100万円を当てるために使った費用とはならないため、収入から引くことができません。
外れ馬券が経費となる条件
ギャンブルは通常、趣味の範囲で行うため、経済的な活動とはならず、競馬の外れ馬券は経費と見なされません。
しかし、競馬などのギャンブルを事業として行っており、営利目的の継続的行為と認められた場合には、得られた収入は雑所得に該当し、外れ馬券も必要経費にすることができます。
一時所得と雑所得では、所得税額の計算方法や必要経費として認められる範囲が異なります。そのため、過去には競馬の払戻金が一時所得か雑所得か、外れ馬券の購入費も経費として認められるのか、裁判で争われたこともあります。
結論からいうと、競馬の外れ馬券が必要経費として認められるには、事業として実態があることを示す必要があります。事業であることを示せない場合には、趣味として競馬を楽しんでいると判断され、外れ馬券の購入費は必要経費として認められません。
まとめ
毎月の給料を大事に使っている方でも、公営ギャンブルなどで瞬間的に多額のお金を手にした場合は「あぶく銭だから散財してもかまわない」と、すぐに買い物などで使い切ったり、他のギャンブルにすべてつぎ込んだりすることもあるでしょう。
人間にはお金の入手方法によって、その使い方を決めてしまう「メンタルアカウンティング」という心理傾向があるからです。
競馬の払戻金として得たお金でも、確定申告を行って税金を納めるケースがあることを知っておきましょう。
出典
国税庁 No.1490 一時所得
国税庁 法第34条《一時所得》関係
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント