クラウドファンディングに税金がかかる? 寄附金控除や確定申告は?
配信日: 2022.08.21
クラウドファンディングを利用する際には、資金調達者も出資者も、税金についてきちんと知っておく必要があります。そこで今回は、クラウドファンディング利用時に課税される税金や、出資時に受けられる控除についてまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
クラウドファンディングで集めた資金は課税対象
クラウドファンディングで集めた資金は、課税の対象になります。どのような税金がかかるかは、クラウドファンディングの手法や、資金調達者が個人か法人かなどの条件で異なるため注意しましょう。
クラウドファンディングにはさまざまな手法がありますが、よく見られるのは「寄附型」と「購入型」の2つです。
・寄附型:支援者の資金提供に対してリターンの設定がない(もしくはごく小さい)タイプ
・購入型:支援者が資金提供額などに応じて物品やサービスなどのリターンを得られるタイプ
寄附型のクラウドファンディングでは、支援者と資金調達者の双方が個人の場合、年間に基礎控除額の110万円を超える資金を集めると、贈与税が発生します。クラウドファンディングを行った翌年の2月1日~3月15日の期間に、贈与税の申告が必要です。
支援者が法人で資金調達者が個人の場合は、所得税が発生します。ほかの収入と合わせて、クラウドファンディングを行った翌年2月16日~3月15日の期間に所得税の確定申告を行いましょう。また、支援者にかかわらず資金調達者が法人の場合は法人税がそれぞれ課税されます。
購入型のクラウドファンディングでは、資金調達者が個人の場合は所得税が課税されます。翌年の申告期間に所得税の確定申告が必要です。また、資金調達者が法人の場合は法人税が発生します。
資金提供した人が得た分配金や利子にも課税される
クラウドファンディングには、資金調達者が支援者からの融資や投資を受け、リターンとして利子や配当を提供する「投資型」とよばれるタイプもあります。
クラウドファンディングのリターンとして利子や配当を受け取った場合、利子所得、配当所得として所得税が課税されます。利子所得は源泉徴収によって納税が完結するため、確定申告は必要ありません。
一方、配当所得も源泉徴収されますが、ほかの所得と合計して所得税を計算し直すための確定申告が必要です。確定申告の結果源泉徴収された所得税額が多すぎる場合は、差額の還付を受けられます。
提供した資金は寄附金控除の対象になることがある
寄附型のクラウドファンディングでは、支援者が個人の場合、支出した支援金に対して寄附金控除を適用できることがあります。クラウドファンディングへの出資で寄附金控除が受けられるのは、主に資金調達者が次に該当する場合です。
・国や地方公共団体
・特定公益増進法人
・認定NPO法人など
・政党、政治資金団体など
寄附金控除が適用されると、確定申告時には次の算式で計算した金額を所得控除できます。
寄附金控除額=その年に支出した特定寄附金の合計額-2000円 ※所得金額の40%が上限
なお、認定NPO法人や政党などに対する寄附金は寄附金特別控除を選択できる場合もあります。また、支援者が法人の場合、寄附型クラウドファンディングへの出資は損金扱いとなり、一定の範囲内で法人税の計算時に差し引き可能です。
クラウドファンディングの利用時は申告・納税を忘れずに
クラウドファンディングを利用して資金を募った場合、クラウドファンディングの手法や資金調達者・支援者が個人か法人かなどの内容によって、贈与税や所得税、法人税などさまざまな税金がかかります。クラウドファンディングを活用して資金調達をする際には、自分の起案したクラウドファンディングの性質を理解して、正しく申告・納税することが大切です。
また、クラウドファンディングに出資した際にも、リターンに対して税金が発生することがあります。一方で寄附金控除が適用されるなど節税ができるケースがあることも覚えておくとよいでしょう。
出典
国税庁 所得税のしくみ
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
e-Gov法令検索 昭和四十年法律第三十四号 法人税法
国税庁 No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)
国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)
国税庁 寄附金を支出したとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部