更新日: 2022.09.14 確定申告

確定申告しないとどうなる?実際のところバレるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

確定申告しないとどうなる?実際のところバレるの?
「確定申告しなくてもバレないのでは?」と考えたことのある方もいるのではないでしょうか。
 
確かに、2021年分の確定申告書の提出人数は21万5086人となっており、この膨大な数の中から税務調査に選ばれること自体、わずかな可能性の話になります。さらに申告をしていないとなると、むしろ、バレないまま逃げ切れる可能性の方が高いと思ってしまうかもしれません。
 
ただ、結論から申し上げますと、意図的な無申告は危険です。逃げ切れたときのメリットよりも、バレたときのデメリットの方が大きいと理解してください。
 
今回は、確定申告をしなかった場合にバレる可能性や、バレた場合のペナルティーについて解説します。
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無申告は脱税=犯罪行為

確定申告を期限内に行わない行為を「無申告」といいます。無申告ということは、所得が発生したことを税務署に知らせないことになるため、所得税も支払わずに済みます。
 
しかし、これは脱税という紛れもない犯罪行為であることを忘れてはいけません。
 

税務署の調査力を侮るなかれ

課税は絶対に公平でなければなりません。そのため、税務署は少しでも無申告を見つけるため、常に調査をしています。
 
「申告していないのだから、調べようがないのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはないのです。税務署はあらゆる情報を集める権限を持っています。
 

国税総合管理システムの存在

国税総合管理システムとは、納税者の税金に関する情報を一括管理するためのシステムで、略称で「KSKシステム」とも呼ばれます。全国の納税者の確定申告書情報などがデータ化、蓄積されており、その人の年収やこれまでの納税情報などを一覧にすることができます。
 
例えば、過去に確定申告をしていた人が、ある年から確定申告されなくなっているとします。会社勤めになった情報はない、年齢的にもまだ現役、扶養家族もいるとなると、怪しまれても無理はないかもしれません。こうして税務調査対象の選定が行われています。
 

預金口座の閲覧権限

税務署は金融機関の預金取引の情報を照会することができます。明らかに売り上げとおぼしき入金が毎月発生しているにもかかわらず、事業所得の申告がないなど、すぐに疑われてしまうでしょう。
 

取引先の確定申告や調査から発覚

事業を行っているほとんどの人には取引先があります。その取引先も同様に確定申告を行っており、税務調査が入ることがあります。
 
税務調査では預金や帳簿、請求書、領収書などすべての資料がチェックされるため、その取引先といくらの取引が行われているかが明らかになります。
 

第三者からのリーク

無申告がバレる理由として意外と多いのが、第三者からの通報だといわれています。
 
「○○さんが無申告だと話していた」、「事業規模の割にすごく良い車に乗っている」など、税務署に一報を入れる人がいるのです。気心が知れる間柄だとしても、酒が入った場だとしても、「無申告なんだよね」などと絶対に話してはいけません。
 

無申告がバレた場合のペナルティー

無申告が発覚した際には、きちんと確定申告している人と差を付けなければなりませんので、当然ながらペナルティーが発生します。
 
具体的には、本来納めるはずだった税額に延滞税と加算税が追加される形で罰を受けます。脱税額が大きいなど悪質なケースでは、刑事罰になる可能性もありますので、「たかが無申告」と高をくくってはいけません。
 

延滞税

「延滞税」は、税金の納付が遅れたことに対する遅延利息としての税金で、申告期限の翌日から納付した日までの日数に応じて計算されます。
 
税率は次の通りです。低金利時代であることを考慮して、特例での税率も設けられており、原則と比較して低い税率を使えるようになっています。
 
【図表1】

期間 税率
原則 特例※
申告期限の翌日から 2ヶ月以内 7.3% 2.4%
2ヶ月超 14.6% 8.7%

出典 国税庁 延滞税の割合
 
※特例の税率は年によって異なります。記載の税率は2022年1月1日から12月31日までの最新の税率です。
 
その他の年については国税庁ホームページよりご確認ください。
 

無申告加算税

「無申告加算税」は、名称通り無申告だったことに対する罰金です。
 
税務調査が実際に入るまでに自主的に申告した場合には、税務調査後に比べて軽い税率になっています。特に、税務署からの連絡すらない状態での申告であれば、5%とかなり軽減されていることが分かります。
 
【図表2】

所得税額 税務調査前 税務調査の連絡から実際に入るまで 税務調査後
50万円以下の部分 5% 10% 15%
50万円超の部分 15% 20%

出典 国税庁 加算税
 

反面調査によって社会的信用低下の恐れ

無申告が悪質であるなど相当の理由がある場合には、勤務先や取引先などへ反面調査が行われることがあります。税務署が取引についての情報を集めるのです。
 
「脱税している可能性がある」とはいいませんが、反面調査があれば勤務先や取引先から「税金を払っていないのだろうか」という目で見られてしまうかもしれません。軽い気持ちで行った無申告が、その後の事業や勤務に大きな影響をもたらす可能性があります。これが無申告の何より怖い点ではないでしょうか。
 

まとめ


 
確定申告をしなくても、「絶対に気づかれる」とは言い切れないかもしれません。しかし、税務署の強力な調査によって、目を付けられた場合には必ずバレてしまうことを知っておいてください。
 
バレた場合には延滞税や加算税の金銭的負担はもちろんのこと、社会的信用まで失う可能性があります。
 
「確定申告すべきところをしなくても良いのか」というのはそもそも論外ですが、もしも迷っている人は、今一度、天秤(てんびん)にかけて考えてみましょう。
 

出典

国税庁 令和2年分の確定申告状況等について(まとめ)
国税庁 No.9205 延滞税について
国税庁 No.2024 確定申告を忘れたとき
国税庁 延滞税の割合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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