更新日: 2022.09.29 その他税金
近年日本では自然災害が激化している! だからこそ知っておきたい制度「雑損控除」「災害減免法による軽減免除」とは?
本記事では、所得税の2つの減免措置である、「雑損控除」と「災害減免法による軽減免除」について解説します。それぞれ適用できる対象や所得制限などが異なるため、制度の違いをよく理解しておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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災害によって受けた損害には2つの税制措置がある
災害によって損害を受けた場合、所得税では「雑損控除」と「災害減免法による軽減免除」の、2つの救済措置が用意されています。
雑損控除
雑損控除は、災害によって自宅や家財に損害を受けた場合に利用できる制度です。災害によって発生した支出を所得から控除できる仕組みで、金額は下記の計算式によって算出されます。
(1)(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
(2)(災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
出典:国税庁 No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
なお、「災害による被害で自宅を建て直した」など損失額が多額かつ、その年の所得から控除しきれない場合は、翌年から3年間繰越控除を受けることも可能です。
災害減免法による軽減免除
災害減免法による軽減免除は、災害によって損害を受けた場合に、所得税が軽減もしくは免除される制度です。
災害で受けた住宅や家財の損害金額が、その時価の2分の1以上であるうえ、災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下の場合、図表1の割合が所得税から減免されます。
【図表1】
出典:国税庁 No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除
また、給与所得者や年金受給者は、一定の手続きを行うことで源泉徴収税の徴収が猶予されたり、還付が受けられたりする場合があります。
「雑損控除」と「災害減免法による軽減免除」の違い
所得税における雑損控除と災害減免法による軽減免除は、適用される条件や所得制限が異なります。
【図表2】
雑損控除 | 災害減免法による軽減免除 | |
---|---|---|
所得制限 | 所得制限なし | 災害にあった年の所得金額の合計額が 1000万円以下 |
適用条件 | 災害によって資産に損害を受けた場合 | 災害によって受けた住宅や家財の損害金額が、その時価の2分の1以上になる場合 ※保険金などで補てんされる金額は除く |
どちらの制度も自宅や家財などに受けた損害が対象となりますが、絵画や骨董(こっとう)品など1つの価格が30万円を超えるもので、通常の生活に必要ない資産は対象外となります。
「雑損控除」と「災害減免法による軽減免除」、適用できるのはどちらか一方のみ
「雑損控除」と「災害減免法による軽減免除」を利用するときに気を付けたいのが、適用できるのはどちらか一方のみで、併用ができない点です。
所得金額や資産の被害状況に合わせて、より有利な条件となる制度を選びましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.8004 災害を受けたときの所得税の取扱い
国土交通省 国土交通白書2020より 第1章 第1節 5 自然災害の頻発・激甚化
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部