更新日: 2022.10.11 控除

【大副業時代の年金】専業主婦(夫)必見!130万円の壁

【大副業時代の年金】専業主婦(夫)必見!130万円の壁
会社員である配偶者の扶養に入ることで国民年金の第3号被保険者となっている専業主婦(夫)Aさん。最近、始めた副業(事業として行っている)が好調で結構な収入があるそうです。
 
ところで、Aさんは「130万円の壁」をきちんと理解しているのでしょうか? この内容を正しく理解して賢く副業を行うために、今回は、130万円の壁について説明します。
柳沢俊宏

執筆者:柳沢俊宏(やなぎざわ としひろ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表

130万円の壁とは

さて、配偶者の扶養に入る際によく耳にするものに「130万円の壁」がありますが、知っているようで意外と知らない130万円の壁とは何なのでしょうか?
 

そもそも第3号被保険者とは?

国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)を「第3号被保険者」といいます。
 
保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括負担しますので、個別に納める必要はありません。配偶者の扶養に入っていれば、国民年金の保険料を自身で支払わなくても、将来年金がもらえるという非常にお得な制度です。
 

第3号被保険者でなくなる130万円の壁

ここで注目していただきたいのが、「年収が130万円未満の人」という要件です。そうなんです。年収が130万円を超えてしまうと、第3号被保険者でなくなり、国民年金の保険料を負担する義務が発生します。
 
そのため、従前より、パートで働く主婦(夫)層は、年収が130万円を超えないように働こうとする130万円の壁というものがあります。
 

2022年10月からは新たに106万円の壁も

パート収入など給与収入を得ている方で、その給与収入を得ている事業所が特定適用事業所(2022年10月からは、事業主が同一である1または2以上の適用事業所の被保険者の総数が常時100人を超える適用事業所)に該当し、かつ、以下の要件をすべて満たす場合は、厚生年金保険の加入要件に当てはまるため、第3号被保険者に該当しなくなります。


・週の所定労働時間が20時間以上あること
・賃金の月額が8万8000円以上であること
・学生でないこと
・雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること

つまり、2022年10月からは「8万8000円×12ヶ月=105万6000円」の「106万円の壁」も新たに発生しています。
 

年収130万円未満とは?

Aさんの収入は給与収入ではなく事業収入になりますので、以前からある「年収130万円未満」という要件について詳しく見ていきましょう。
 

年収とは?

ここでいう年収とは、所得ではなく収入です。所得税では非課税とされる雇用保険の給付金や通勤手当も収入とされますので注意が必要です。それでは、この収入はいつの時点の収入なのでしょうか? 住民税などは過去の所得に対して課税されるので、前年分の収入で判断されるのでしょうか?
 
実は、ここでの収入は認定日以降1年間に発生する将来の収入を基に判定されるのです。つまり、将来1年間にわたって、年収が130万円未満であるかが判断基準となります。
 

月収にするといくらか?

年収130万円ですので、月収に換算すると約10万8300円になります。将来1年間にわたって、月収が10万8300円を超えないと見込まれる場合は第3号被保険者でいられるということです。逆にいうと、月収が10万8300円を超えてしまうと、配偶者の扶養から外れなければならないこととなります。
 

事業収入の場合どう計算するのか?

給与収入の場合は、給与収入そのままで計算すればいいのですが、Aさんのように副業などで稼いだ収入(今回の場合は事業収入としています)はどのように計算すればよいでしょうか?
 
例えば、事業収入が今月50万円あったとします。この時点で月収10万8300円を超えてしまうので、第3号被保険者でなくなってしまうのでしょうか? しかし、Aさんは50万円の事業収入を得るために45万円の必要経費が発生しており、実際の手取り額は5万円です。
 
実は、このような場合に関しては、事業収入から各健康保険組合が認める必要最低限の経費(減価償却費、交際費は含まれません。)を差し引くことができるとされています。今回の例であれば、Aさんの月収は5万円になりますので、第3号被保険者のままでいられます。
 

副業でお金を稼ぐ際は賢く稼ぎましょう

このように、副業が好調だからといって、中途半端に稼いでしまうと、国民年金の保険料を負担することとなり、逆に損をすることもあります。損をしないためにも、130万円の壁は意識しておく必要があります。制度を正しく理解し、賢く副業を行いましょう。
 

出典

日本年金機構 年金用語集 第3号被保険者
 
執筆者:柳沢俊宏
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表

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