年金生活で確定申告が不要な場合「住民税」も不要なの?
配信日: 2022.10.12
ただし、規定の要件を満たしている人に限り、所得税および復興特別所得税の確定申告が不要になる制度があります。この制度には地方税である住民税も対象に含まれますが、各種控除を希望する場合などは確定申告が必要です。
本記事では、公的年金等に係る「確定申告不要制度」の詳細について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公的年金による雑所得は確定申告が必要
雑所得になる公的年金等による所得については原則として確定申告が必要です。
・雑所得になる公的年金等とは
雑所得になる公的年金等には、(1)「国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法による年金」(2)「過去に勤務していた会社などから受け取る年金」(3)「確定給付企業年金法の規定に基づく年金」(4)「外国の法令に基づく保険や共済による制度で、(1)の各種法律による社会保険や共済制度などに類する年金」の4種類があります。
・確定申告が必要なケース
確定申告が必要なのは次のようなケースです。まず、上記の公的年金による収入から所得控除(公的年金等控除)を行います。そのうえで残額がある場合には確定申告による税額の精算が必要です。
また、所得税および復興特別所得税や公的年金の源泉徴収の還付を希望する場合も、確定申告が必要になります。
公的年金等に係る「確定申告不要制度」とは?
公的年金等に係る「確定申告不要制度」を利用することで、公的年金による雑所得の確定申告が不要になります。ただし、当制度を利用するには以下の要件を満たすことが必要です。
・確定申告が不要になる要件
公的年金等に係る「確定申告不要制度」を利用するには、(1)「公的年金等による収入の合計額が400万円以下」(2)「公的年金等による収入のすべてが源泉徴収の対象」(3)「公的年金等による雑所得以外の所得が20万円以下」という、全要件に該当する必要があります。
・公的年金等による雑所得以外の所得とは
公的年金等による雑所得以外の所得に該当するのは、(1)「給与や賞与またはパート収入などによる所得」(2)「個人年金や原稿料などの公的年金等以外の雑所得」(3)「株式の配当などによる所得」(4)「生命保険の満期返戻金などの一時所得」の4種類です。
住民税が確定申告不要になるための要件
公的年金による雑所得は、所得税および復興特別所得税だけでなく住民税も確定申告を不要にできる場合があります。
・住民税とは
住民税は、都道府県や市区町村が担当する行政サービスの財源になる税金です。住民税には市区町村民税と都道府県民税があり、所得税額と一緒に計算されて納税者に通知されます。そのため、確定申告をしていれば、住民税について別途で申告する必要はありません。
・住民税の確定申告が不要になる要件
所得税および復興特別所得税の確定申告が不要になる要件に加えて、各種控除(扶養控除や医療費控除など)を追加しなければ住民税の確定申告は不要です。
ただし、都道府県や市区町村によって要件が異なる場合があるため、国税庁では各自治体に問い合わせることを推奨しています。
確定申告が不要かどうかは税務署や自治体に問い合わせて確認しよう
公的年金による雑所得は、原則として所得税および復興特別所得税の確定申告が必要です。確定申告によって所得税および復興特別所得税とともに、住民税も計算されて徴収されます。
ただし、規定の要件を満たしていれば、公的年金等に係る「確定申告不要制度」の利用が可能です。この制度を利用することで所得税および復興特別所得税だけでなく、住民税の確定申告も不要になる場合があります。
自分が該当者かどうかは、税務署や自治体に問い合わせておくと安心です。
出典
国税庁 公的年金等を受給されている方へ
政府広報オンライン ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部