扶養者控除の38万円、48万円、58万円、63万円、103万円ってどう違うの?

配信日: 2022.10.18

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扶養者控除の38万円、48万円、58万円、63万円、103万円ってどう違うの?
配偶者控除について「103万円の壁」という言葉はよく耳にするかもしれませんが、最近「38万円」や「48万円」など、いろいろな数字が錯綜(さくそう)していてわかりづらいという人もいるでしょう。ここで整理しておきたいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

収入と所得の違い

まず「103万円」について見てみましょう。
 
これは、配偶者(例えば妻)が仕事をしても103万円を超えなければ、被扶養者として本人(例えば夫)が配偶者控除を受けられるというものです。この103万円という金額は変わりませんが、よく混同するのは収入と所得の違いです。収入とは給与明細に書かれた金額、所得は実質、税金の計算のもとになる金額です。
 
103÷12≒8.5なので、毎月同じペースでパート勤務をする場合、平均月収8万5000円以内ならば、年収は103万円を超えないことになります。
 

所得は令和2年以降「48万円」を超えなければ配偶者控除になる

「38万円」と「48万円」の違いは、ズバリ、計算上の過程を通じて生じた結果です。令和元年までは、65万円だった給与所得控除が令和2年からは55万円になりました。
 
では、この給与所得控除というのは何かというと、「会社員やパート勤務の人でも、自営業者と同じように勤務に出れば、ビジネススーツが必要になる、あるいは化粧品が必要になると考えて、それらが必要経費と認められる」というイメージで理解されればよいと思います。その必要経費については、会社員は計算するのが難しいので、国税庁が定めたルールに当てはめて収入から所得を計算することになっています。
 
その必要経費が令和2年以降、165万円までの「収入」については「65万円を認める」が「55万円を認める」に変わったのです。
 

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収の支払金額) 給与所得控除額
平成29年分から令和元年分 令和2年分以降
1,625,000円まで 650,000円 550,000円

 
(出典:国税庁ホームページ(※)より筆者抜粋)
 
つまり、給料をもらうパート勤務の人については、給料をもらう時点が問題になるので、変更はないということになります。注目すべきところは、所得というより収入という点です。
 

高校生以上の子どもがいる場合には「38万円」か「63万円」

家庭に高校生以上の子どもがいる場合(その年12月31日現在の年齢が16歳以上)、「一般の控除扶養親族」として38万円(その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の場合は「特定扶養親族」として63万円)の控除が適用となりますので、該当する場合は要チェックです。
 
中学生までは児童手当や自治体によっては医療費などの措置がありますが、高校生以上になればそれらの適用外になり、負担が一気に重くなります。この事情を考慮しての措置だと考えられます。
 

老親を扶養している場合には「48万円」か「58万円」

さらに、老親を扶養している場合には、同居の場合には58万円、同居以外の場合には48万円の扶養控除がありますので、こちらも該当する方は確認する必要があります。
 

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族 63万円
老人扶養親族 同居老親等以外 48万円
同居老親等 58万円

 
(出典:国税庁ホームページ(※))
 
さまざまな数字が錯綜し、わかりづらいかもしれませんが、本稿を参考にご自身の状況を確認してみましょう。
 

出典

(※)国税庁 No.1410 給与所得控除
 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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