更新日: 2022.11.25 控除
政治献金は寄附金控除の対象になる?上限金額は?
実際には、決められた金額の範囲内であれば、誰にでも政治献金が可能です。また、一定の条件を満たす政治献金は寄附金控除などの対象となるため、税務上のメリットもあります。
本記事では、個人が政治献金をする場合の上限額などのルールや、寄附金控除、政党等寄附金特別控除の対象となる条件をまとめました。政治献金をしてみたいと考えている人は、ぜひチェックしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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個人が政治献金をするときのルール
定められた限度額の範囲であれば、個人での政治献金は誰にでも可能です。政治献金には大きく、政治家個人の政治活動に対する寄附と、政党や政治団体に対する寄附があります。
個人から政治家個人への寄附は、金銭・有価証券による寄附は、原則として禁止されています。寄附できるのは、年間150万円以内の物品等に限られます。ただし、例外として選挙運動に関するもの(陣中見舞いなど)のみ、年間150万円以内で金銭等による寄附ができます。
一方、個人から政治団体への寄附は、寄附先が政党・政治資金団体の場合、1団体あたりの年間寄附額の制限は下記限度額(総枠)の範囲内であれば個別の制限はありません。寄附先がその他の政治団体・公職候補者の場合は、1団体につき年間150万円以内の現金による寄附が認められています。
個人が政治活動に関して寄附できる1年間の限度額(総枠)は、次のように定められています。
●政党・政治資金団体に対する寄附:年間合計2000万円以内
●その他の政治団体・公職候補者に対する寄附:年間合計1000万円以内
寄附金控除の対象となる政治献金の条件
個人で政治献金をすると、寄附金控除の対象となる場合があります。寄附金控除の対象となるのは、政治団体または公職候補者の政治活動に関する寄附のうち、特定の団体もしくは特定の公職候補者の選挙運動に関する寄附です。
ただし、政治資金規正法に違反する寄附、寄附をした人に特別の利益が生じる寄附は、寄附金控除の対象外となります。
■特定の団体への寄附
特定の団体とは、次の5つをいいます。
●政党
●政治資金団体
●国会議員が主宰する政治団体または主要構成員が国会議員の政治団体
●すでに公職に就いている人の後援会
●公職候補者の後援会
上記団体への寄附のうち、政治資金規正法に定める報告書によって、総務大臣または都道府県の選挙管理委員会へ報告されたものが寄附金控除の対象です。
■特定の公職候補者の選挙運動に関する寄附
ここでの公職とは、次の職をいいます。
●国会議員
●都道府県議会議員
●都道府県知事
●政令指定都市の議会の議員
●政令指定都市の市長
これらの公職候補者の選挙運動に関する寄附のうち、公職選挙法に定める報告書により、都道府県の選挙管理委員会または中央選挙管理会に報告されたものが寄附金控除の対象です。
寄附金控除の所得控除額は、次の式で計算します。
寄附金控除額=「その年の特定寄附金額の合計額」と「その年の総所得金額等の40%」のいずれか低い金額-2000円
政党等寄附金特別控除制度を選択できるケース
寄附金控除の対象となる政治献金のうち、平成7年1月1日~令和6年12月31日までに行った政党および政治資金団体への政治活動に関する寄附については、寄附金控除による所得控除に代えて、政党等寄附金特別控除制度による税額控除の適用も選択できます。
政党等寄附金特別控除制度による控除額の計算式は次のとおりです(その年の所得税額の25%が上限)。
政党等寄附金特別控除額=(その年の政党等に対する寄附金額の合計額※その年の総所得金額等の40%が上限-2000円)×30%
寄附金控除と政党等寄附金特別控除のいずれの適用を受けるかは、計算してみて有利なほうを選択可能です。
政治献金のルールを守って寄附金控除を有効に利用しよう
個人での政治献金は誰でもできますが、1年間あたりの上限額が定められているため、ルールの範囲で献金を行うことが大切です。
政治献金のうち、政党など特定の団体や公職候補者の選挙活動に関する寄附は、寄附金控除の対象となります。また、政党、政治資金団体への寄附の場合は政党等寄附金特別控除も選択できるため、税額を計算して有利になるほうを選びましょう。
出典
総務省 なるほど!政治資金 政治資金の規正
総務省 政治資金規正法のあらまし
国税庁 No.1154 政治献金と寄附金
国税庁 No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)
e-Gov法令検索 政治資金規正法
国税庁 No.1260 政党等寄附金特別控除制度
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部