更新日: 2022.11.28 控除

配偶者特別控除を「満額38万円」受給したい! 受け取れる世帯の年収はいくら?

配偶者特別控除を「満額38万円」受給したい! 受け取れる世帯の年収はいくら?
結婚して配偶者がいる人は、所得税申告の際に配偶者控除を受けることができます。配偶者控除の条件は控除を受ける人の年収が1000万円以下であることと、配偶者の給与収入が103万円以下であることです。
 
しかし、この条件に当てはまらない場合でも配偶者特別控除が受けられます。今回は、配偶者特別控除がどのような制度なのか、満額の38万円を受け取るにはどのような条件がいるのか、詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは、配偶者の給与収入が103万円以上の人も活用できる控除の制度です。現行の配偶者特別控除が始まったのは平成15年の税制改正からです。
 
このとき、それまで定められていた配偶者控除の上乗せ部分としての配偶者特別控除が廃止され、代わりに配偶者控除の範囲を広げる形での配偶者特別控除がスタートしました。その結果、対象者の給与収入が103万円以上であっても、条件によっては控除を受けられるようになったのです。
 
こうした改正の背景には、個人所得税の空洞化と控除制度が就業や生活設計に関する選択をゆがめているという2つの問題があったといわれています。個人所得税の空洞化とは、簡単にいうと所得税の課税対象が高くなりすぎているということです。
 
それまでのように配偶者控除に上乗せされる配偶者特別控除だと、控除対象者の給与年収が103万円以内の多くが配偶者控除とそれに上乗せされた配偶者特別控除によって所得税を納めなくてすむようになっていました。そうすると所得税が租税としての機能を果たさなくなる、というわけです。
 
もうひとつの就業や生活設計に関する選択をゆがめているというのは、対象者が働きすぎると控除対象の枠外になるため損になる、という状況を作り出してしまっていたということです。対象者の収入を103万円以内に抑えるメリットがあまりにも大きすぎたといえるでしょう。
 
社会情勢の変化や働き方に対する意識の変化に合わせ、従来主流であった片働き世帯だけにメリットがあるような制度ではなく、共働き世代にもメリットがあるような制度にしようということで改正が行われたのです。
 

配偶者特別控除を受ける要件とは

それでは、改正された配偶者特別控除はどのような条件で受けられるのでしょうか。まず挙げられるのは、控除を受ける納税者本人の合計年間所得が1000万円以下であることです。
 
次に、民法上の配偶者が納税者と生計を一にしており、配偶者自身が納税者ではなく、また配偶者控除を受けていないことなども条件として挙げられます。
 
配偶者特別控除は配偶者自身の給与所得と、配偶者と納税者本人の所得を合わせた合計年間所得額がいくらかによって金額が異なります。配偶者の年間給与所得が48万円以上95万円以下の場合、配偶者と納税者本人との年間合計所得が900万円以下であれば控除額は38万円です。
 
世帯の年間合計所得が900万円以上950万円以下になると控除額は26万円になり、950万円以上1000万円以下になると控除額は13万円になります。配偶者特別控除が最も少なくなるのは配偶者の年間給与所得が130万円以上133万円以下で、世帯の年間合計所得が950万円以上1000万円以下の場合です。その場合、控除額は1万円になります。
 
このことから、もしも配偶者特別控除を満額である38万円受け取りたいのであれば、配偶者は年間所得を95万円以下に、世帯では合計所得を900万円以下に抑えなければならないということになります。
 
注意するべきポイントは、所得は年収ではないということです。所得は年収からさまざまな控除を引いた額です。そのことを合わせて考えると、配偶者、納税者本人がともに給与所得者の場合、満額受け取るためには配偶者は年収150万円以内、世帯年収は1095万円以下に抑える必要があるでしょう。
 

配偶者特別控除を満額受け取れる世帯年収は1095万円以下!

配偶者の給与年収が103万円以上であっても、配偶者特別控除を受けられます。配偶者特別控除は、配偶者の年間給与収入が150万円以内で配偶者と納税者本人を合わせた世帯の年間合計年収が1095万円以内であれば38万円となります。
 
配偶者の給与年収や世帯の合計年収がこれらの金額を超えた場合、それに応じて控除額も減少するので、満額を受け取りたい場合は配偶者の年間給与収入を150万円以内、世帯での合計年収を1095万円以内に抑えるようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.1195 配偶者特別控除
富山県 経済指標の見方・使い方
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部