更新日: 2022.11.29 控除
収入が増えてもゆとりができないのはなんで? ゆとりをつくるためにはどうしたらいい?
また、収入が増えると気が大きくなり、ついつい使ってしまうのも人間の性ですので、家計管理にも気をつける必要があります。
今回は、収入が増えたら税金や社会保険料がどの程度増えるのかを確認し、ゆとりができるためにはどうしたらよいのかを考えてみたいと思います。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
収入が増えると税金が上がる
日本は、累進課税を採用しているので、収入が増えると確実に税金が上がります。したがって、年収が増えたからといって、その分の手取りが増えるものではないので、勘違いして使いすぎるのは厳禁です。
では、どのくらい税金が増えるのか、見ていきましょう。
まず、所得税です。表1の所得税速算表を使って確認しましょう。
例えば、課税される所得金額が700万円の場合は、
700万円×0.23-63万6000円=97万4000円が控除後の金額です。
仮に、年収が増えて、課税される所得金額が1000万円となった場合には、
1000万円×0.33-153万6000円=176万4000円となります。
したがって、このケースでいえば、課税所得が300万円増えたとしても、所得税だけで
176万4000円-97万4000円=79万円の税の負担増となります。
住民税について、簡易的に住民税を10%とすると、課税所得が300万円増えると、
300万円×0.10=30万円の負担増になります。
年収が上がった分だけ、所得税が累進的に増える、そして住民税は所得に応じて増えることをしっかりと把握しておくのが、ゆとりある生活をするためのスタートポイントです。
収入が増えると社会保険料も上がる
税金と同様に、社会保険料も年収に応じて増えます。厚生年金と健康保険について、東京都在住の会社員を例にして、どの程度増えるのかを見ていきます。
例えば、標準報酬月額(※)が30万円から50万円に増えた場合に、社会保険料は月額7万350円-4万2210円=2万8140円の増額、年額にして2万8140円×12=33万7680円の増額となります。
※標準報酬月額とは、複数月の給与を平均するなどして算出されるもので、社会保険料の金額を算出する際に使われるものです。
収入が増えると生活コストが上がる
収入が増えると、今まで見てきた税金や社会保険料だけでなく、ついつい気が大きくなり生活コストが増える傾向にあります。「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」という英国の歴史学者パーキンソンの法則もあるように、収入が増えると人間はその分支出も増えるといわれています。
ゆとりのある生活を送るためには、次の3点に留意するとよいでしょう。
(1) 税金や社会保険料の増加額を把握する
概算の増加額の例については、確認してきました。ご自分の増加額について知りたい場合には、会社から渡される毎月の給与明細を見れば、簡単に知ることができますので、しっかり把握しておきましょう。
(2) 家計管理をしっかり行う
収入が増えたからといって、今まで続けてきた家計管理を緩めることなく、収入と支出を管理しましょう。年収が増えるとどんぶり勘定になりがちですが、収入が増えたからこそ将来のためにもしっかりと手綱を締めましょう。
(3) 手取りに見合ったお金の使い方をする
増えた分の手取りの増加額をきちんと把握し、増加額に見合ったお金の使い方をするように心がけましょう。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
全国健康保険協会 ホームページ
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー