更新日: 2022.11.29 確定申告

裁判員裁判で裁判員候補者の日当はいくら出る? 確定申告は必要なの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

裁判員裁判で裁判員候補者の日当はいくら出る? 確定申告は必要なの?
日本国内で衆議院議員の選挙権をもつ人なら誰もが、裁判員候補者に選出される可能性があります。
 
しかし、候補者になるとどうなるのかを詳しく知る人は少ないでしょう。日当が出ることも、知らない人が多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、裁判員候補者の役割や日当・交通費・宿泊費の計算方法と金額・日当が確定申告の対象になるのかどうかなどについて、分かりやすく整理しました。裁判員制度について、ぜひ知識を深めてください。
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裁判員候補者とは? 裁判員とは違うの?

裁判員候補者とは、裁判員の選任のために裁判員候補者名簿から選ばれ、選任手続に呼ばれた人です。
 
裁判員候補者名簿に載せる人は、毎年1回、地元の衆議院議員選挙の有権者から、各地方裁判所がくじ引きで無作為に選びます。くじ引きは毎年10~11月ごろに行われ、名簿に載った人のもとには11月ごろに名簿に登録された旨の通知と、辞退の希望を聞く調査票が送付されます。調査票の回答から辞退が認められた人を除き、事件ごとにくじ引きで裁判員候補者が選ばれます。
 
なお、裁判員候補者に選ばれた時点では、まだ裁判員ではありません。裁判員候補者のなかから選任手続を経て選ばれるのが、正式な裁判員です。
 

裁判員候補者に選ばれたら

裁判員候補者がやることは、主に次の2つです。

・質問票の返送
・裁判員等選任手続への出席

裁判員候補者名簿からくじ引きで裁判員候補者に選ばれると、裁判所から裁判員等選任手続への呼び出し通知が届きます。通知表の発送時期は、裁判員等選任手続きの6~8週間ほど前です。この通知を受け取ったら、同封された質問票に回答を記入して返送しなければなりません。質問票には辞退の希望も書き込めるため、辞退が認められれば役目はここで終わりです。
 
辞退をしない場合は、裁判員等選任手続出席のため、呼び出し通知に記された日時に裁判所に出向く必要があります。裁判員等選任手続で行われるのは、質問票の記入や裁判官の質問、辞退希望の確認などです。これらの手続きを経て、最終的には辞退者などを除いた名簿からくじ引きで6人の裁判員が選任されます。
 

裁判員候補者には日当と交通費・宿泊費が支給される

裁判員候補者になり、裁判所に出向いて裁判員等選任手続に出席すると、日当と裁判所までの交通費が支給されます。また、やむを得ずホテルなどに宿泊する場合は、宿泊費も請求可能です。支払いは、口座振り込みで行われます。入金タイミングの目安は、選任手続の日から約1週間から10日後です。
 
以下で、日当の上限額や計算方法と、交通費や宿泊費はどの範囲まで認められるのかを、簡単にまとめました。
 

日当の上限額と支給額の決め方

裁判員候補者の日当は1日あたり最大で8050円と定められており、支給額は選任手続に要した時間に応じて計算されます。例えば、選任手続が午前中に終了し、裁判員に選任されなかった場合の日当は、最高額の半分の4000円あまりが目安です。
 

交通費・宿泊費の範囲と支給額の決め方

裁判所に出向くのに鉄道や船、飛行機を使用した場合は、それぞれの運賃が支払われます。また、自家用車やバス・タクシー・徒歩などで行った場合は、1キロメートルあたり37円として支給額が計算されます。
 
ただし、最も経済的な(安い)経路・交通手段で計算するルールのため、実際にかかった交通費より支給額が低い場合もあることに注意しましょう。また、前払いにも対応してもらえないため、一時的に自己負担する必要があります。
 
裁判所が自宅から遠いなどの理由で宿泊が必要な場合は、宿泊費が支給されます。宿泊費の金額は、裁判所の地域によって1泊あたり7800円または8700円です。 

日当の確定申告が必要かどうかはケース・バイ・ケース

裁判員候補者の日当は、労務への報酬ではなく、選任手続への出席によって生じる収入減少や出費などの損害に対する補償です。そのため、所得の区分は「雑所得」として扱います。個人事業主など例年確定申告を行っている人は、裁判員候補者の日当も雑所得として所得に算入し、申告手続をする必要があるでしょう。
 
年末調整を受けている会社員の場合はケース・バイ・ケースです。日当からの源泉徴収は行われないため、主に次のような場合は確定申告が必要となるため注意しましょう。

・1ヶ所から給与をもらっていて、給与所得と退所所得を除いた各種所得金額の合計(裁判員候補者の日当を含む)が20万円を超える

また、専業主婦(夫)など、給与収入がなく、裁判員候補者の日当を含む各種所得の合計が基礎控除額の48万円を超えない人は、確定申告は不要です。
 

裁判員候補者の段階でも日当が支払われる

裁判員候補者は、裁判員に選ばれる前の候補者の段階です。しかし、裁判所に出向いて裁判員等選任手続に出席する必要があるため、そのときに要した時間に応じた日当が支給されます。また、交通費や宿泊費も支給されますが、計算の規定があり、出費した全額が必ず支給されるわけではないため注意が必要です。
 
日当を受け取った場合、雑所得として確定申告をしなければならないケースもあります。ルールに従って正しく処理しましょう。
 

出典

日本弁護士連合会 裁判員制度 知っておきたいこと
最高裁判所 裁判員制度 見てなっとく!選任手続
最高裁判所 裁判員制度 裁判員制度Q&A
国税庁 裁判員等に支給される旅費、日当及び宿泊料に対する所得税法上の取扱いについて(照会)
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 No.1199 基礎控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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