全国で2844億円!?ふるさと納税の寄附件数がわずか4年で100倍超!
配信日: 2018.05.23 更新日: 2019.01.11
直近の寄附状況や、制度が開始した平成20年からの推移等をまとめてみました。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
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平成28年の寄附金額は全国で2844億円!
総務省ふるさと納税ポータルサイトの「平成29年度ふるさと納税に関する現況調査について」から、過去9年間の「寄附金額」と「寄附件数」を表にしてみました。
また前年実績と比べた寄附金額の増減割合を「寄附金額の対前年比」として、寄附金額1件あたりの金額を「寄附金額/件」として、それぞれ計算したものを載せておきました。
平成20年度に81億円だった寄附金額は平成24年度には104億円へ、この4年間で23億円増えて約1.3倍になっていますが、減った年もありました。
そして、その後の4年間は大きく増え、平成28年度には2844億円にもなりました。
平成24年度からの4年間で2740億円増え、27倍にもなっています。急に増えた要因としては、従来税金の控除を受けるために必要だった確定申告が、給与所得者が5団体以内にふるさと納税するような場合に限り、確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が開始されたこと等が挙げられます。
ほかにも税額控除できる枠の拡大や、メディアに多く取り上げられて認知度が向上したことも大きく影響しています。
寄附の受け入れが多いのは北海道・山形県・宮崎県
平成28年度の寄附金額を都道府県別に分け、どこが多く受け入れているか確認してみました。
「寄附金額の対全国比」は、全国で2844億円あった寄附金額に対するその都道府県の割合(シェア)で、「寄附金額/件」は都道府県ごとの寄附1件あたりの寄附金額です。
ふるさと納税を最も受け入れているのは北海道で、北海道および北海道内の市町村で、計271億円の寄附を受け入れています。北海道のシェアは9.54%にもなり、日本全体の1割近い寄附が集まっていることになります。寄附の件数も163万件で全国1位です。
次に寄附金額が多いのは山形県の225億円、そして宮崎県の206億円です。寄附件数は2番目が宮崎県の123万件、3番目が山形県の116万件となっています。
山形県と宮崎県は県の人口が共に110万人程度であり、人口以上の寄附件数を受け入れていることになります。
寄附金額の多い10道県だけで、日本全体の57.7%もの寄附金を受け入れています。特に九州は6県も入っており、ふるさと納税によって九州の市町村等はかなり恩恵を受けているようです。
寄附の受け入れが少ないのは富山県・徳島県・東京都
受け入れている寄附が多い都道府県を確認したので、逆に少ない都道府県も確認してみました。
ふるさと納税を最も受け入れていないのは富山県で、富山県および富山県内の市町村で、計5億円しか受け入れていません。富山県のシェアはわずか0.19%で、北海道の50分の1程度です。
2番目に少ないのは徳島県、3番目は東京都となっています。東京都は育ててくれたふるさとへ貢献ということではないでしょうから、寄附金の受け入れが少ないのは仕方ないのかもしれません。
富山県と徳島県は寄附金を受け入れる必要がないのか、県の方針なのかはわかりませんが、現状はまだ様子見のようです。表の10都府県合計しても4.1%にしかなりません。
ふるさと納税の寄附金額と寄附件数は急増しており、もう数年はこの傾向が続きそうです。都道府県別に見るとかなり差があり、熱心なところとそうでないところに分かれています。
制度ができてまだ10年、今後ふるさと納税が安定した制度になっていくのか、一時的な制度として終わってしまうのか、今後の動向を注視していきましょう。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
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