自分の子どもが年末調整で「勤労学生控除制度」を受けるには? 要件や手続き方法を解説!
配信日: 2022.12.27
今回は、アルバイトに励む子どもを持つ親に向け、子どもが年末調整で勤労学生控除制度を受けるための要件や手続きについて解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
勤労学生控除制度とは
勤労学生控除制度とは、納税者となる方が学生であった場合、一定額の控除を受けられる制度のことです。控除を受けることで本人の税負担が軽くなります。この控除の対象となるのは本人のみです。親の控除額が増え、親の税負担が軽くなるわけではない点にご注意ください。
勤労学生控除制度の要件
勤労学生控除制度の対象となるには、ただ単に学生であるというだけでは不十分です。具体的には、下記の3点全てに該当している必要があります。
●アルバイトなどで得る給与所得といった、勤労による所得があること
●合計所得金額が75万円(例えば、収入がアルバイトのみの場合は収入金額130万円)以下であること
●学校教育法に規定される大学や専門学校などに通う学生であること
要は、学生で収入がアルバイトのみの場合、その金額が130万円以下であれば勤労学生控除の対象となるということです。逆に、収入が130万円を超えていると対象とはなりません。
勤労学生控除制度の適用を受けるには?
勤労学生控除制度の適用を受けるには、アルバイト先から学生本人に交付される扶養控除等(異動)申告書の記載と提出が必要です。具体的には、C区分の「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄にある勤労学生にチェックを入れます。
さらに、その横にある「障碍者又は勤労学生の内容」という部分に下記の情報を記載していきます。
●学校名
●所得の種類
●入学年月日
●所得見積額
そして、氏名や住所などその他基本的な情報を記載した上で勤務先に提出します。提出を忘れたり、遅れたりしてしまうと、勤務先にて年末調整を受けられない可能性があります。
万が一、勤務先の年末調整によって勤労学生控除の適用を受けられない場合は、翌年に自身で確定申告をすることが必要になってしまいます。年末調整を受けられるように、勤務先と相談しながら準備を進めることをおすすめします。
勤労学生控除を受ける際の注意点
勤労学生控除制度をアルバイト先の年末調整によって受けられるのは、勤務先が1つの場合に限ります。アルバイトを複数掛け持ちしているような場合は自身で確定申告をする必要があります。確定申告は例年、翌年の2月中旬から3月中旬に行うことになります。詳細については住所地を管轄する税務署へご相談ください。
また、勤労学生控除の対象となるのは、基本的に年収が基礎控除と給与所得控除の合計である103万円を超えている方になります。この場合、親の扶養からも外れていることになります。
勤労学生控除制度の適用によって本人の税金は安くなっても、扶養から外れることで親の税金が高くなってしまう点にはご注意ください。
年末調整で勤労学生控除制度を受けるのは難しくない
子どもがアルバイトにいそしみ親の扶養を外れてしまっても、その収入が130万円以下であれば、勤務先の年末調整で勤労学生控除制度の適用を受け本人の税負担を軽くすることができます。
しかし、年末調整に間に合わなかった場合や、同時に2ヶ所以上に勤務している場合は確定申告を行う必要があります。子どもが年末調整で勤労学生控除制度の適用を受ける際は、アルバイト先と手順や条件について確認しつつ、確実に受けられるよう準備を進めておきましょう。
出典
国税庁 No.1175 勤労学生控除
執筆者:柘植輝
行政書士