更新日: 2023.01.05 その他税金

インボイス制度を分かりやすく教えてほしい! 自営業者やフリーランスにどんな影響がある?

執筆者 : 飯田道子

インボイス制度を分かりやすく教えてほしい! 自営業者やフリーランスにどんな影響がある?
令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されることになっています。ただし、この適格請求書(インボイス)を発行するためには、「適格請求書発行事業者」に登録していなければなりません。
 
話題ばかりが先行しているインボイス制度は、どのような制度なのでしょうか? また、フリーランスや自営業者者にはどのような影響があるのでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

インボイス制度とは、どのような制度?

最近、フリーランスや自営業の方からの相談で多いのが、「インボイス制度が始まるから面倒」「届出したほうがよいの?」といった内容です。
 
インボイス制度がスタートすることは知っていても、どのような制度なのかよく分からないという人は、少なくありません。インボイス制度とは、どのような制度なのでしょうか。
 
そもそもインボイスとは適格請求書のことであり、売手が買手に対し、正確な消費税額や適用税率等を伝えるというものです。具体的には、今の「区分記載請求書」に、登録番号、適用税率および消費税額等の記載が追加されたものです。
 
そのため、インボイス制度では、売手と買手の双方が対応しなければなりません。
 

~売手側~

売手が登録事業者の場合、買手の取引相手(課税事業者)から求められたケースでは、インボイスを交付する必要があります。また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります。
 
売手というと、モノを売っているというイメージがありますが、読み替えれば、製作者や製造者なども売手になります。
 

~買手側~

買手は仕入税額控除の適用を受けるためには、原則として、取引相手である売手の登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要になります。
 
買手が保存するものは、自らが作成した仕入明細書等のうち、インボイスに記載が必要な事項が記載されかつ取引相手の確認を受けたものを保存します。そのようにすることで、仕入税額控除の適用を受けることができます。
 
つまり、インボイス制度は、税額控除を受けるための制度であるといえます。
 

インボイス制度の登録は任意だけど…

インボイス制度で必要なインボイスが発行できるのは、インボイス発行事業者にならなければなりません。
 
発行事業者になるためには、自ら申請し、登録します。ただし、期限が設けられており令和5年3月31日までに登録の申請が必要です。
 
免税事業者の場合、登録を受けるかどうかを検討すればOKであり、登録は任意です。
 
申請はe-Taxから手続きすることができ、書面で手続きしたときよりも早く登記通知が届きます。なお、e-Taxで申請すると、電子データで登録通知を受け取れるため、紛失のリスクを防ぐことも可能です。
 
ただし、e-Taxを利用するためには、事前にマイナンバーカードを取得していなければなりません。
 
自分は、フリーランスで免税事業者だし、面倒だし、任意なら申請しなくても良いのでは?と思うかもしれませんね。
 
とはいえ、インボイス制度は、売手と買手の双方の税額が正しいか、一致しているかを確認する目的のものです。また、買手側(売手がフリーランスで制作する側とした場合の買手は依頼主)は、売手が免税事業者のままだと、税額控除が受けられなくなってしまうというリスクがあります。
 
そのため、フリーランスや自営業に対して、インボイス制度を導入する予定の有無を確認する会社が増えているのです。
 
あまり考えたくはありませんが、同じクオリティで行える仕事であれば、自分にとってメリットのある相手と取引をしたいと思うもの。免税事業者のままでは、仕事がもらえなくなってしまう可能性があるのでは、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
 

 

インボイス制度が始まると、どのような影響があるの?

インボイス制度が始まると、事務負担が増えることは確実です。また、フリーランスなどで大きな打撃となるといわれているのが増税です。
 
フリーランスなど個人でビジネス取引をしていた場合、多くの人が免税事業者になっているのですが、インボイス制度を申請すると、課税事業者になります。
 
課税事業者になるということは、今まで支払わなくてもよい税金を支払わなければならない可能性が生じてしまい、実質、収入が減ってしまう可能性があります。
 
2022年はさまざまなモノの価格が上昇しており、生活コストが上がってしまいました。さらに令和5年(2023年)10月1日からインボイス制度がスタートすることにより、収入が減ってしまったら、生活に影響があるのは明らかでしょう。
 
インボイス制度を見直す運動なども行われていますが、どうなるのか見守るしかない状況です。まずは、対象者なら自分は申請するのかどうかを決めて、準備を進めておくことが必要です。
 

出典

国税庁 インボイス制度の概要

国税庁 消費税 令和5年10月 インボイス制度が始まります!

 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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