家族が亡くなったときの「準確定申告」ってどんな申告?

配信日: 2023.01.05

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家族が亡くなったときの「準確定申告」ってどんな申告?
ご家族が亡くなった際に行う手続きの中で「準確定申告」というものがあります。そもそも準確定申告とは何なのか、何が必要なのかなど、さまざまな疑問があると思います。今回は相続(死亡)時に必要とされる準確定申告とはどんなものか、必ず行わなければならないものなのかなどについてお話しします。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

準確定申告とは

準確定申告とは、被相続人(亡くなった方)の収入に対する確定申告のことです。本来であれば本人が行うべき確定申告を、相続人が本人に代わって行う申告のことです。これ以外に、出国による準確定申告というのもがありますが、今回は省略します。
 

準確定申告が必要な場合は?

準確定申告が必要なのは、以下の場合です。
 

 1.自営業者で事業所得・不動産所得がある場合
 2.2000万円以上の給与がある場合
 3.2ヶ所以上から給料をもらっている場合
 4.公的年金の受給額は400万円以上の場合
 5.給与・退職金以外に20万円以上の収入がある場合

 
などがあります。
 
つまり、会社員等で所得があっても、会社等が年末調整を行っている場合、準確定申告は基本的に不要です。
 
また、準確定申告が不要な場合でも、
 

 1.源泉徴収税額を納めすぎている場合
 2.高額医療費を支払っていた場合
 3.配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除等の控除を適用したい場合

 
などは、準確定申告によって還付を受けられる場合がありますので、申告をしたほうがよいパターンです。
 

一般的な確定申告との違いは?

一般的な通常の確定申告は、毎年1月から12月までの1年間分の所得税額を計算し、翌年3月15日までに申告・納税を行いますが(消費税は3月31日)、準確定申告は死亡日までの収入について、その相続人が4ヶ月以内に行う必要があります。
 
ただし、被相続人が翌年の1月1日から確定申告期限までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合には、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に行います。
 
その場合の前年の申告は、準確定申告の適用ではなく期限後申告となります。申告は相続人が生前に住んでいた住所地を管轄する税務署に提出します。ちなみに、相続人の中に相続放棄をしている人がいる場合、民法上相続人ではなかったとみなされるため、それ以外の相続人で準確定申告をすることになります。
 
申告の際、控除すべき社会保険料等がある場合、亡くなった日までに支払いが済んでいる金額だけを控除できます。
 

還付がある場合は? 還付金をもらったら税金はかかるの?

申告の結果、追加で納税する場合もありますし、逆に還付される場合もあります。準確定申告の還付金を相続人のおのおのが受領する場合には、準確定申告書に記入します。また、相続人の1人にすべて受領させる場合には、委任状を作成し、確定申告書の付表と一緒に提出が必要です。
 
準確定申告の還付金は本来被相続人のものです。よって、還付金請求権は相続財産となりますので、相続税の課税対象です。なお、還付加算金は相続人が準確定申告書の提出によって取得するもので、被相続人からの相続によって取得するものとは認められないため、相続税の課税価格には算入されません。還付加算金は、相続人の所得税(雑所得)の課税対象となります。
 

その他の留意点

被相続人が事業等を行っている個人事業主やフリーランスだった場合は、廃業届出書や給与支払事務所等の廃止届出書の提出が必要です。さらに、消費税の課税事業者であれば、個人事業者の死亡届出書の提出も必要となります。
 
相続税の申告・納税は相続開始から10ヶ月以内ですが、それと比べて準確定申告は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月と期間が短いので、早めの申告・納税の手続きが必要です。特に必要書類をそろえるためには相続人全員の協力が必要なため、時間に余裕をもって行うことをお勧めします。
 
また、高額の医療費を支払っていた場合や、配偶者・扶養家族がいる場合など、準確定申告の任意の場合に還付金を得られる可能性があるので、申告をするか否かをよく確認するようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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