更新日: 2023.01.09 控除

厚生年金保険料は「社会保険料控除」の対象になる? 手続きはどうすればいい?

厚生年金保険料は「社会保険料控除」の対象になる? 手続きはどうすればいい?
所得控除の対象となる社会保険料というと、個人で納めている国民年金などをイメージする人も多いことでしょう。
 
では、給与から天引きされる厚生年金保険料は所得控除を受けられないのでしょうか。
 
ここでは、厚生年金保険料が社会保険料控除の対象となっているか、また、対象となっている場合にはどのような手続きを行えば控除を受けられるかについて、わかりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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そもそも社会保険料控除とは?

社会保険料控除は、所得税の計算をする際に所得の合計から一定の金額を差し引ける所得控除の1つです。社会保険料控除を受けると、1月1日から12月31日までの1年間に納付した社会保険料の全額を、その年の所得から控除できます。
 
社会保険料控除を受けられるのは、社会保険料を納めている納税者本人または納税者と生計を共にしている配偶者などの親族が負担している一定の社会保険料です。
 

厚生年金保険料は社会保険料控除の対象になっている? 控除を受けるのに手続きは必要?

社会保険料控除は、国民年金や国民健康保険、介護保険などのほか、厚生年金の保険料も対象になっています。
 
ですが、会社員などの給与所得者は、毎月給与からの天引きで厚生年金保険料を納めているため、社会保険料控除を受けるための手続きを自分で行う必要はありません。年末調整により社会保険料控除を受けることが可能です。
 
また、国民年金保険料などの場合、社会保険料控除を受けるためには納付した保険料の金額を証明する控除証明書を用意しなければなりません。しかし、厚生年金保険料の社会保険料控除は、年末調整の際の控除証明書の用意が不要です。
 

社会保険料には自分で手続きが必要な場合もあるため要注意!

前述の解説のとおり、厚生年金保険料など給与から天引きされている社会保険料の控除を受けるには、特に自分で手続きを行う必要はありません。
 
しかし、源泉徴収以外の方法で支払っている社会保険料はその支払いについて会社が把握していないため、自分で所定の手続きを行う必要があります。例えば、転職などをして国民年金保険料を支払っていた時期があったり、生計を共にしている家族の国民年金保険料を支払っていたりした場合などです。
 
源泉徴収以外の方法で支払っている社会保険料について控除を受けたい場合には、年末調整時に、控除を受けたい社会保険料の情報を「給与所得者の保険料控除申告書」に記載し、その社会保険料の控除証明書を添付して勤務先に提出しましょう。
 
さらに、そもそも給与所得者であっても、次の7つの条件のいずれかに該当している人は確定申告を行って控除を受ける必要があります。
 
1つ目は1年間の給与収入が2000万円を超える人、2つ目は給与を受けている先が1カ所で、なおかつ1年間の副業収入が20万円以上ある人です。3つ目として給与を受けている先が2カ所以上あり、年末調整されなかった給与収入が20万円を超えている人も確定申告を行う必要があります。
 
4つ目は特定の関係者が一定数以上の株式保有や出資を行っている同族会社で役員などをしていて、期日付きで貸し付けた金銭の利子や資産の賃貸料などをその同族会社から受け取っている人です。5つ目として被災により住宅や家財に損害を受けると所得税が軽減あるいは免除される災害減免法が適用されている人も確定申告をすることが求められています。
 
6つ目は源泉徴収が義務付けられていない人から給与などをもらっている人、7つ目は源泉徴収額より退職所得の税額が多い人です。そのほか、年末調整がない個人事業主なども自分で確定申告を行わなければ社会保険料控除を受けられません。
 

厚生年金保険料以外の社会保険料で控除できるものがあれば忘れずに申告を!

厚生年金保険料は社会保険料控除の対象ですが、年末調整をする場合には特に自分で手続きを行う必要はありません。ただし、所得控除を受けられる社会保険料は厚生年金保険料以外にもあります。
 
そもそも、所得控除は控除対象となる金額が大きければ大きいほど、納める税金の負担も軽くなります。そのため、自分や家族が納付している社会保険料で社会保険料控除の対象となっているものがあれば忘れずに手続きを行うようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.1130 社会保険料控除
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 No.8004 災害を受けたときの所得税の取扱い
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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