副業で100万円稼ぐと税金が「20万円」!? 副業にかかる税金について解説
配信日: 2023.01.14
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
副業にかかる税金は主に2種類
副業にかかる税金は主に「所得税」と「住民税」です。いずれも課税所得に対して、以下の税率を乗じて計算します。
●所得税:5~45%
●復興特別所得税:算出された所得税×2.1%
●住民税:10%
副業の所得とは
まず「課税所得」とは、所得から「所得控除」を差し引いた残額のことで、所得税率を乗じる対象になる金額です。副業をしている場合には、会社員としての給与所得と副業による所得を合計し、そこから所得控除を差し引く流れになります。
副業の所得は、副業がアルバイトなどの給与収入なのか、雇用されずに自身で事業を行って得た収入なのかによって算出方法が異なる点に注意しましょう。
給与収入-給与所得控除=給与所得
売上-経費=雑所得(個人事業主として副業している場合は事業所得)
副業にかかる税金の具体的な計算
副業が「ネットでの小売業」で、売上200万円、仕入などの経費が100万円、所得税率は10%とした場合の所得税と住民税を計算してみましょう。なお、実際には復興特別所得税も課税されますが、ここでは割愛しています。
200万円-100万円=100万円
100万円×(所得税率10%+住民税率10%)=20万円
この場合の副業にかかる税金は、所得税と住民税合わせて20万円ということになります。
20万円以下の副業は確定申告不要
本業である会社員分の給与については年末調整によって所得税の精算が行われますが、副業分については自身で確定申告をしなければ、所得税を納めることができません。よって、副業をしている人は、年末調整が済んだ給与と副業による所得を合算し、改めて所得税を計算し直すために確定申告を行う必要があります。
ただし、副業による所得が20万円以下である場合には、確定申告はしなくてもよいことになっています。これを通称「20万円ルール」と呼びます。ここでいう20万円とは、副業がアルバイトなどの給与の場合には収入金額を指しており、事業の場合には利益金額を指している点に注意してください。
住民税申告は必要
「副業による所得が20万円以下であれば確定申告しなくてもよい」というルールは、所得税に限ったものである点に注意しましょう。「住民税」は副業による収入が少しでもある場合は、申告しなければなりません。
ただ、「住民税申告」と聞いてすぐにイメージできる人は多くないのではないでしょうか。確定申告ほど知られておらず、申告書の様式も市区町村によって異なるため、作成に苦戦することが考えられます。
なお、確定申告をした場合は住民税申告もしたことになります。確定申告は不要でも住民税申告が必要になるのであれば、メジャーな確定申告をした方が事務的な負担が小さいかもしれません。
個人事業主での副業には個人事業税と償却資産税も
副業がある程度の規模になると、節税のために「個人事業主」の形態を取る人もいるでしょう。その場合には、所得税と住民税とは別に「個人事業税」や「償却資産税」が発生する場合があります。
まとめ
副業にかかる税金は主に所得税と住民税です。所得税は段階税率となっていることから、会社員としての年収が高い場合には、少しの副業でも多額の税金が発生する可能性があるため注意しましょう。副業にかかる税金を知るためには、まずは自身が適用される税率を知ることが重要です。
出典
国税庁 副収入などがある方の確定申告
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 所得税のしくみ
総務省 個人住民税
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士