医療費控除をしても戻るお金が0円? 医療費控除で失敗しない方法をFPが解説

配信日: 2023.01.14

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医療費控除をしても戻るお金が0円? 医療費控除で失敗しない方法をFPが解説
「今年は医療費が多くかかってしまったけど、医療費控除という制度があると聞きました」 と、このように、医療費控除を利用して少しでも税金が戻ってくれば……と考えている方も多いのではないでしょうか?
 
ところで、医療費控除はどのような制度で、どのくらい税金が戻ってくるものなのでしょうか? 「医療費控除のために多大な労力をかけた割に、戻ってきた税金は大したことなかった」という意見も耳にします。
 
今回は、医療費控除で失敗しないためにも、医療費控除の仕組みについて説明します。
柳沢俊宏

執筆者:柳沢俊宏(やなぎざわ としひろ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表

医療費控除とは?

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に自己、または自己と生計を一にする配偶者やそのほかの親族のために医療費を支払った場合に、支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に算出された金額の所得控除を受けられる、という制度です。
 
理解しやすいように分解してみていきましょう。
 

確定申告で行うもの

医療費控除は、確定申告で行います。確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額と、それに対する所得税などの額を計算して確定させる手続きで、翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います。
 

一定額はいくら?

医療費控除を受けるためには、実際に支払った医療費の合計額(保険金で補てんされる金額を差し引いた後の金額)が、次のいずれか少ない方の金額を超えなければなりません。

●10万円
●総所得金額等の5%の金額(その年の総所得金額等が200万円未満の人)

 

所得控除

医療費控除は、各種所得の金額の合計額から差し引かれる所得控除です。差し引かれた分、所得税率をかける所得が少なくなるので、税金が少なくなります。
 
会社員などの給与所得者の場合は、すでに所得税等が源泉徴収されていますので、確定申告によって税金が戻ってきます。
 

医療費控除で失敗しないために注意すること

Aさんはパートとして働いています(1年間の収入は100万円)。昨年は医療費が多くかかったということで、確定申告を行い、医療費控除を受けることにしました。
 
昨年に支払った医療費の領収証をなんとかかき集め、自身でe-Taxはできないので、確定申告会場に出向きました。長い待ち時間に耐え、いよいよ自分の番。Aさんの身に起こったことは、戻ってくる税金が0円だと判明しただけでした。
 
Aさんのように失敗しないためにも、以下の点に注意しましょう。
 

あくまでも所得控除だということ

医療費控除はあくまでも所得控除です。すでに基礎控除などほかの所得控除で課税所得が0になっている場合、源泉徴収されている所得税等は0円となっていることが多く、戻ってくる税金がありません。
 
確定申告の前に、勤務先から交付される源泉徴収票で源泉徴収税額欄に金額が記載されているか確認しておきましょう。
 

一定額を超えた金額に税率を掛けた分だということ

仮に、課税所得があり、戻ってくる税金の額があったとしても、期待し過ぎるのは厳禁です。戻ってくる税金は、一定額を超えた金額に税率を掛けた分だからです。
 
例えば、一定額を1万円超えていたとします。適用される税率が5%だった場合、戻ってくる税金は500円です。
 
自分のかける労力に見合うものなのか、源泉徴収税額の有無や金額、適用されている税率などを事前に確認しておきましょう。
 

医療費控除は賢く利用しよう

医療費控除は、医療費が多くかかった人へ配慮する制度ですので、有効に活用しましょう。ただし無駄な労力に終わらないよう、利用する前にしっかりと確認することをおすすめします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
 
執筆者:柳沢俊宏
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表

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