年収400万円のフリーランスが支払う予定納税額はいくら? 注意すべきポイントや減額申請とは?
配信日: 2023.01.19
本記事では予定納税について解説した上で、年収400万円のフリーランスの予定納税額がいくらになるのかをシミュレーションします。予定納税の概要や、どの程度納めなければいけないのか知りたい人は、チェックしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
予定納税とはどんな制度?
予定納税とは、その年の5月15日時点で確定している、前年分の所得金額や税額などを基に計算した「予定納税基準額」が15万円以上である場合、その年の所得税(含む復興特別所得税)の一部を前もって納める制度です。
図表1のいずれにも該当する人は、予定納税基準額は前年分の申告納税額となります。
【図表1】
出典:国税庁 No.2040 予定納税
例えばフリーランスで事業所得しかない人は、予定納税基準額は前年分の申告納税額と覚えておきましょう。申告納税額とは、確定申告で計算した所得税額から外国税額控除や源泉所得税額を差し引いた金額です。
予定納税の対象者には、その年の6月15日までに税務署から納税額の通知書が届きます。納める金額は総額で予定納税基準額の3分の2、それぞれ原則、以下の期間に3分の1ずつ納める必要があります。
●1期分:7月1日~7月31日
●2期分:11月1日~11月30日
年収400万円のフリーランスはいくら予定納税額を支払う?
ここでは年収400万円のフリーランスを例に、予定納税額を計算してみましょう。なお、ここでいうフリーランスの年収は、収入から必要経費を差し引いた「所得」とします。
【前提条件】
所得の種類:事業所得のみ
所得金額:400万円(収入600万円-必要経費200万円)
所得控除額:48万円(基礎控除のみ)
源泉徴収額:なし
青色申告特別控除額:65万円
【予定納税額の計算式】※
課税所得金額
=所得金額-所得控除額-青色申告特別控除額
=400万円-48万円-65万円
=287万円
所得税額(予定納税基準額)
=課税所得金額 × 所得税率-控除額
=287万円 × 10%-9万7500円
=18万9500円
予定納税額(1回分)
=予定納税基準額×1/3
≒6万3167円
今回の計算例では、1回につき6万3167円、合計で12万6334円を支払うことになります。
なお、同じ年収(所得)の人でも事業所得以外の所得がある場合や、所得控除の金額、源泉徴収額の有無などによって、予定納税額は異なります。
フリーランスで事業所得しかない人なら、確定申告書の「申告納税額」の3分の2(1回あたり3分の1)程度の納税額を準備しておきましょう。
※あくまでシミュレーションであり、実際の予定納税額とは異なる場合があります。
予定納税の注意点
予定納税ではまとまった金額を年2回に分けて納める必要があります。予定納税の対象になりそうな人は、納税スケジュールを把握した上で納税資金を確保しておきましょう。
予定納税の通知が届いたにもかかわらず期限までに納めなかった場合、延滞税が課せられる場合があるので注意が必要です。
もし6月30日の現況でその年の所得税額が予定納税額より少なりそうな場合は、7月15日までに所轄の税務署に「予定納税額の減額申請書」を提出しましょう。
この書類が承認されれば、予定納税額が減額されます。なお、第2期分のみの減額申請は11月15日までです。(10月31日の現況で予定納税額を見積もり)。
まとめ
前年分の確定申告で一定以上の所得税を納めているフリーランスの人は、予定納税の対象となる場合があります。
予定納税の通知書が届いて慌てることがないよう、納税時期とおおよその予定納税額を把握しておくことをおすすめします。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2040 予定納税
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部