更新日: 2023.01.20 その他税金
月給25万円。政令指定都市では住民税はいくらぐらい? 市によって差はあるの?
本記事では、政令指定都市のなかでも住民税が高い自治体、低い自治体を取り上げて、住民税額を比較します。政令指定都市の住民税事情を具体的にイメージしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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政令指定都市の住民税の標準税率は?
住民税は、所得金額などに応じて税額が決まる「所得割」と、所得金額にかかわらず一律で徴収される「均等割」で構成されています。2022年現在の税制では、所得割が課税所得額の10%(標準税率)、均等割が一律5000円です。これは、政令指定都市でもそれ以外の自治体でも変わりません。
ただし、政令指定都市とそれ以外の自治体では標準税率10%の内訳が次のように異なります。
●政令指定都市:市民税8%、道府県民税2%
●政令指定都市以外:市町村民税6%、道府県民税4%
また、住民税所得割の税率はあくまでも標準税率であり、各自治体が税率の課税自主権をもって柔軟に超過または軽減できるようになっています。
住民税が標準より高い/安い政令指定都市は?
政令指定都市のなかには、住民税を標準より高く設定している自治体、安く設定している自治体が存在します。住民税を高く設定している政令指定都市の例として挙げられるのは横浜市、神戸市、仙台市、反対に住民税が安い政令指定都市は名古屋市です。これらの自治体の住民税は図表1のように定められています。
【図表1】
横浜市 | 所得割:市民税8%、県民税2.025% 均等割:6200円 |
神戸市 | 所得割:市民税8%、県民税2% 均等割:6200円 |
仙台市 | 所得割:市民税8%、県民税2% 均等割:6200円 |
名古屋市 | 所得割:市民税7.7%、県民税2% 均等割:5300円 |
出典:横浜市、神戸市、仙台市、名古屋市ホームページより筆者作成
政令指定都市のなかで所得割の税率や均等割の金額に差があるのはなぜかというと、住民税には地域社会に必要な費用を市民全員で負担するという趣旨があるためです。
例えば、横浜市の均等割額で上乗せ分のうち900円は、横浜市の緑を作り守るための「横浜みどり税」の名目で徴収されるものです。神戸市や仙台市も同様に、地域独自の取り組みの財源として均等割額の上乗せが行われています。
反対に名古屋市では、市民生活の支援や地域経済の活性化、地域経済の発展を目的として、住民税の減税を実施しています。
月給25万円の場合の住民税、横浜市と名古屋市で比較
住民税の税率や均等割額の差は、家計にどの程度影響するのでしょうか。月給25万円の人を例に、横浜市と名古屋市の住民税がどれくらい違うのかを試算してみましょう。
●年収300万円(月給25万円、ボーナスなし)
●20代、独身
●住居のある県で勤務している
●社会保険料および基礎控除以外の控除は考慮しない
■横浜市の場合
横浜市在住(神奈川県勤務)の場合、年収300万円の課税所得額はおよそ117万円です。住民税の年額は以下のように計算できます。
117万円×住民税率10.025%+均等割6200円=12万3492円
1ヶ月あたりの住民税額は約1万300円となり、月給の4%程度が徴収される計算です。
■名古屋市の場合
名古屋市在住の場合も、年収300万円の課税所得額はおよそ117万円でほとんど変わりません。住民税の年額は以下のとおりです。
117万円×住民税率9.7%+均等割5300円=11万8790円
1ヶ月あたりの金額は約9900円で、横浜市と比べると年間で約4700円、月間で約400円安い計算です。
住民税は自治体によって多少の差がある
政令指定都市でもそれ以外でも、住民税は課税所得額の10%+5000円が標準額です。月給25万円の人の場合、年額12万円程度の住民税が課されます。
住民税は地域社会に必要な費用を住民みんなで負担するという趣旨で、自治体のなかには独自の取り組みのために税金の上乗せや軽減をしているところがあります。自治体間の住民税額の差はそれほど大きなものではありませんが、転居をする際などにはチェックしてみるとよいかもしれません。
出典
総務省 やさしい地方税 個人住民税
総務省 地方税制度 個人住民税
横浜市 個人の市民税・県民税について
神戸市 住民税(市県民税)の税額の計算方法
仙台市 個人市県民税について
名古屋市 平成30年度以降の市民税・県民税から適用される主な税制改正(暮らしの情報)
名古屋市 個人の市民税の減税について(暮らしの情報)
全国健康保険協会 協会けんぽ 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部