更新日: 2023.01.27 控除
住民税の控除はさまざまある! 控除の種類を知って賢く利用しよう!
しかし実際には、住民税は所得金額を基準にして決まる所得割と原則一律で5000円が課税される均等割から成り立っており、所得割は所得金額から個々の事情に応じた各種控除を差し引いたうえで10%の税率を掛けて計算します。また、計算した税額から差し引ける控除も存在します。
本記事では、住民税所得割額の計算時に差し引ける、主な控除の種類と適用条件や金額を分かりやすくまとめました。自分にはどれが適用できるかをチェックして、住民税額を試算してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
給与所得者の給与から差し引かれる「給与所得控除」
給与所得控除は、給与収入から差し引ける控除です。給与所得控除の金額は、給与の年収を図表1に当てはめると求められます。
【図表1】
給与の年収 | 控除額 |
---|---|
~162万5000円 | 55万円 |
~180万円 | 給与の年収額×40%-10万円 |
~360万円 | 給与の年収額×30%+8万円 |
~660万円 | 給与の年収額×20%+44万円 |
~850万円 | 給与の年収額×10%+110万円 |
850万円超 | 195万円 |
出典:国税庁 No.1410 給与所得控除
公的年金収入から差し引かれる「公的年金等控除」
公的年金等控除は、国民年金、厚生年金、確定給付企業年金などの公的年金収入から差し引ける控除です。65歳以上の公的年金等収入金額ごとの控除額は、それぞれ図表2のとおりです。
【図表2】
公的年金等の収入金額 | 控除額 |
---|---|
330万円未満 | 公的年金以外の所得との合計金額に応じて、65歳未満:40~60万円/65歳以上:90~110万円 |
~410万円未満 | 公的年金以外の所得との合計金額に応じて、公的年金収入の金額×25%+7.5~27.5万円 |
~770万円未満 | 公的年金以外の所得との合計金額に応じて、公的年金収入の金額×15%+7.5~27.5万円 |
~1000万円未満 | 公的年金以外の所得との合計金額に応じて、公的年金収入の金額×25%+48.5~68.5万円 |
1000万円以上 | 公的年金以外の所得との合計金額に応じて、公的年金収入の金額×5%+125.5~145.5万円 |
出典:東京都主税局 個人住民税
個々の事情に応じて所得から差し引かれる各種「所得控除」
収入の種類に応じて差し引かれる給与所得控除や公的年金等控除のほかに、社会保険料の金額や家族構成など個々の事情に応じて、収入から差し引かれる所得控除があります。主な所得控除の種類と金額は図表3のとおりです。
【図表3】
控除の種類 | 控除額 |
---|---|
社会保険料控除 | 課税年度中に支払った社会保険料の金額 |
基礎控除 | 最高43万円 |
扶養控除 | 扶養親族の年齢などに応じて扶養親族1人あたり33~45万円 |
配偶者控除 | 最高33万円(70歳以上の配偶者は最高38万円) |
配偶者特別控除 | 最高33万円 |
医療費控除 | 課税年度中に支払った医療費-総所得金額等×5%(10万円超は10万円) ※最高200万円 |
医療費控除の特例(セルフメディケーション税制) | 課税年度中に支払った対象医薬品の購入額-1万2000円 ※最高8万8000円 |
生命保険料控除 | 生命保険の種類・加入年度ごとに最高3万5000円 ※合計7万円まで |
地震保険料控除 | 最高2万5000円 |
出典:東京都主税局 個人住民税
なお、控除の名目は同じでも所得税と住民税では控除額が異なるものがあるため注意が必要です(図表3では基礎控除、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、生命保険料控除、地震保険料控除)。
個々の事情に応じて所得割額から差し引かれる各種「税額控除」
税額控除とは、税率を掛けて所得割額を求めたのちに、個々の事情に応じて税額から一定額を差し引くものです。主な税額控除には次のようなものがあります。
・住宅ローン控除:住宅ローンの年末残高などに応じて税額控除を受けられる制度※平成21年以降の入居者が対象
・ふるさと納税:一定の地方自治体に寄附をした際に税額控除を受けられる制度
・配当控除:一定の配当控除がある場合に受けられる税額控除
それぞれの金額は、図表4のとおりです。
【図表4】
控除の種類 | 控除額 |
---|---|
住宅ローン控除 | 次のいずれか小さい金額 ・前年の所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除の金額 ・前年の所得税の課税総所得金額等に5%乗じて得た額(上限9万7500円) ※令和4年度以降入居の場合 |
ふるさと納税 | 一定の地方自治体への寄付額-2000円(一定の上限あり) |
配当控除 | 配当の種類、課税総所得金額などに応じて、配当所得の最大2.8% |
出典:東京都主税局 個人住民税、藤沢市 配当控除の計算方法について
税額控除も、所得税の計算時とは控除額の計算方法が異なることが多いため注意しましょう。
住民税は単純に所得の10%ではない!
住民税の金額は、所得金額の10%ではありません。所得金額から各種控除を差し引いたうえで求めた課税所得金額から、さらに税額控除を差し引いて決まる所得割額と、一律の均等割額を合わせた額。
住民税の課税の仕組みや控除の種類を知ることで、現在の住民税額がどう決まっているかが分かるだけでなく、住民税額の試算にも役立つでしょう。
出典
総務省 個人住民税
東京都主税局 個人住民税
藤沢市 配当控除の計算方法について
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
国税庁 No.1140 生命保険料控除
国税庁 No.1145 地震保険料控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部