更新日: 2023.02.01 確定申告
青色申告特別控除とは? 青色申告と開業届の出し方の解説
確定申告には青色申告と白色申告がありますが、大きなメリットを受けられるのは青色申告の方です。今回は、この青色申告について解説します。
執筆者:上山由紀子(うえやま ゆきこ)
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者 鹿児島県出身 現在は宮崎県に在住 独立系ファイナンシャル・プランナーです。
企業理念は「地域密着型、宮崎の人の役にたつ活動を行い、宮崎の人を支援すること」 着物も着れるFPです。
青色申告特別控除とは?
フリーランスや自営業者をはじめとする個人事業主の方は、所得税を納めるために所得を税務署に申告しなければなりません。これが確定申告です。
この確定申告には青色申告と白色申告がありますが、節税効果が高いのは青色申告です。少し手間はかかりますが、利用する価値は十分にあります。特に、青色申告特別控除は節税効果が高い制度です。
青色申告特別控除とは、所得金額から55万円(一定の要件を満たす場合は65万円)または10万円を控除できる制度です。
所得とは、事業で得られた売り上げから必要な経費を差し引いたもうけの部分を指し、税金はこの部分に課されます。このもうけの部分から控除できるのが青色申告特別控除であり、高い節税効果を得られます(※1)。
青色申告特別控除を受けるための手続きとは?
青色申告特別控除を受けられるのは、事業所得や不動産所得または山林所得を生ずべき業務を行う方となります。
青色申告を行う場合、青色申告承認申請書を提出する必要があります。申請書の提出期限は、青色申告による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、事業開始から2ヶ月以内)となります。
提出期限が土・日曜日・祝日などに当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります(※2)。
青色申告特別控除を受けるための要件とは?
青色申告特別控除を受けるための要件は、下記のとおりです。
(1)不動産所得または事業所得を得ている。
(2)所得に係る取引を複式簿記により記帳している。
(3)複式簿記に基づいて作成した貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに提出する。
複式簿記とは、1回の取引を複数の科目で記録する記帳方法です。また、会計は現金主義ではなく、発生主義(取引が発生した時点で記帳)の方法で行う必要があります。
ここまでの要件を満たすことで、55万円の青色申告特別控除が受けられます。65万円の控除を受けるためには、上記に加え次のいずれかにも該当している必要があります。
・事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っていること。
・所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書などの提出を、確定申告書の提出期限までにe₋Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと。
電子帳簿で提出することになりますので、慣れない方は確定申告ソフトなどを利用することをおすすめします。
なお、上記の55万円の青色申告特別控除および65万円の青色申告特別控除の要件に該当しない方は、10万円の青色申告特別控除を受けることができます。
※不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得(※3)の金額の合計額が10万円より少ない場合は、その金額が限度となります。
開業届の手続きは?
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は事業の開始などの事実があった日から1ヶ月以内に提出します。提出期限が土・日曜日・祝日などの場合は、翌日が期限となります。
提出先は納税地を所轄する税務署長です。税務署の所在地などは国税庁ホームページの「組織(国税庁・税務署等)」の「税務署の所在地などを知りたい方」で検索できます。また、受付時間は8時30分から17時までです(※4)。
まとめ
今回は、節税効果が高い青色申告特別控除などの解説をしました。65万円の青色申告特別控除を受けるためにはe₋Taxを利用することなどが要件となりますが、これには事前の準備が必要です(※5)。
事前の準備をしっかりしておき、スムーズな確定申告を行いましょう。
出典
(※1)国税庁 No.2072 青色申告特別控除
(※2)国税庁 「手続名」所得税の青色申告承認申請手続
(※3)国税庁 No.1480 山林所得
(※4)国税庁 「手続名」個人事業の開業届出・廃業届出等手続
(※5)国税庁 e₋Tax国税電子申告・納税システム
執筆者:上山由紀子
1級ファイナンシャルプランニング技能士 CFP®認定者