更新日: 2023.02.15 年末調整
会社がやってくれたけど…。「年末調整」しないと、どのくらい損になる予定だった?
一方で、年末調整が何か分からない方もいらっしゃるはずです。そこで、年末調整をしないとどれくらい損してしまうのか、誰が対象になるのかなど、年末調整についての気になる点を解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年末調整とは
年末調整とは、会社員の方やパート・アルバイトの方など勤務先から支払われる毎月の給与から差し引かれる所得税の金額を確定させ、過不足がないか確認し、払いすぎていれば還付を受け、逆に不足していれば納めるための手続きです。
毎月差し引かれる所得税はあくまでも概算で、かつ、多めに設定されていることが多いため基本的には年末調整によって払いすぎた所得税が返ってくることになります。
年末調整は多くの事業所において11月頃から給与所得者の扶養控除等(異動)申告書など必要な書類が配布されるためそれを指定された期日までに記載し、控除の証明書などとともに事業所に提出する形で年末調整を受けます。
年末調整の対象となるのは誰?
年末調整の対象となるのは、パートやアルバイトなどを含む、年末調整に必要な給与所得者の扶養控除等(異動)申告書などを提出した全従業員です。
ただし、給与の総額が2000万円を超えていたり、12月に支給される給与を受け取らずに退職したりするなど一部の例外的な条件に該当する方を除きます。
年末調整は雇用主の義務です。もし、自分は対象ではないのか?と疑問に思った時は勤務先へご確認ください。手続きが漏れてしまっている可能性もあります。
年末調整を受けないとどれくらい損するの?
年末調整を受けないといくら損してしまうのかは人によって異なります。個人の所得や家族構成によって税率が変化することや、控除の額が異なるためです。特に、生命保険やiDeCoに加入している方や住宅ローンを組んでいて住宅ローン控除の適用が受けられる方は還付の額が高くなり、年末調整を受けないことで損をしてしまう金額が高い傾向にあります。
参考までに、年収500万円で所得税の税率が10%である方でiDeCoに年間10万円掛け金を拠出した方は所得税と住民税(10%で計算)でおよそ2万円損をしてしまいます。また、結婚して配偶者を扶養に入れている方は38万円の配偶者控除が受けられず、7万6000円程度損をしてしまうでしょう。
このように、年末調整を受けないと収入が高くて税率も高い方や扶養する家族がいる方、保険やiDeCoに加入している方などは損をしてしまうのです。
年末調整を受けなかった場合は?
年末調整を受けなかった場合、損をしてしまった分は取り返すことができなくなってしまうかといえば、そうではありません。年末調整を受けなくても、翌年の2月中旬から3月中旬までの期間に確定申告を行うことで、払いすぎた税金について還付を受けることができます。
確定申告は1年間の収入とそれに対する税金を確定させ納税したり払いすぎた税金について還付を受けたりするための手続きです。要は自分で行う年末調整のようなイメージです。
主に自営業者や副業の収入のある会社員の方などが行っていますが、年末調整を受けなかった会社員やパート・アルバイトの方も行うことができます。確定申告においては会社から発行される源泉徴収票と生命保険の控除証明書など控除を証明する書類を準備して行うことになります。詳細については住所地を管轄する税務署へご相談ください。
今年も年末調整を受けられるようご準備を
年末調整は基本的に払いすぎた税金が返ってくるものになります。人によっては何万円もの大きな金額のお金が戻ってくることもあるでしょう。
年末調整を受けられるように、会社員やパート・アルバイトなど雇用形態を問わず勤務先に雇用され給与を受けている方は、年末調整に必要な書類の提出を勤務先の定める期限までに提出できているかいま一度確認してみて下さい。
執筆者:柘植輝
行政書士